急傾斜地崩壊危険箇所における高齢者の分布と想定最大被害額の推定を試み,建物の分布を考慮した人口分布の推定手法を提案した.従来の人口分布推定法である面積按分法と比較したところ,以下のことが明らかになった.推定人口を比較すると,面積按分法と本研究で提案した手法の間には人口分布に有意な差がみられ,面積按分法から得られる結果よりも現実の人口分布に近いものであった.具体的には,本研究による人口推定手法を用いた場合,マンションなどの大型建物が立地し,居住人口が元々多いとみられる場所は人口が多く,逆に建物が疎に分布し,居住人口が少ない場所は人口が少なく推定された.
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