研究課題/領域番号 |
24501296
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研究機関 | 茨城キリスト教大学 |
研究代表者 |
岩間 信之 茨城キリスト教大学, 文学部, 准教授 (90458240)
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研究分担者 |
田中 耕市 茨城大学, 人文学部, 准教授 (20372716)
浅川 達人 明治学院大学, 社会学部, 教授 (40270665)
駒木 伸比古 愛知大学, 地域政策学部, 准教授 (60601044)
佐々木 緑 広島修道大学, 人間環境学部, 准教授 (70401304)
熊谷 修 人間総合科学大学, 人間科学部, 教授 (80260305)
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キーワード | 小売業の郊外化 / チェーン店 / 移動トラック / 仮設住宅団地 / 独居老人 |
研究概要 |
2013年度は,被災地における商業機能の郊外化の現状を把握するとともに,仮設住宅の買い物環境を検討し,環境改善のための課題を整理した。 震災から3年が経過し,山田町の買い物環境は大幅に改善した。岩手県沿岸地域の中核都市である宮古市と釜石市に挟まれた山田町は,市場が大きいことに加え,既存の中心商店街の被災も大きかったことから,大手チェーン店の郊外出店が相次いでいる。高台の幹線道路沿線には,スーパーやドラッグストア,ホームセンター,コンビニなどが多数立地している。また,住民の自動車保有や公共交通機関網の充実もあり,仮設住宅居住者の買い物利便性は飛躍的に向上した。 その一方で,市街地から遠い仮設住宅団地には,週1~2巡回に来る移動トラックに食料確保を頼らざるを得ない高齢者が散見される。こうした地域をかつて支えていた地元商店は,震災後閉店したままである。商業機能の郊外集積と既存商店街の衰退は,単身高齢者を中心にフードデザート問題(食の砂漠)問題を増加させうる。商業機能の再構築には,多面的な視野からの検討が必要である。 こうした現状を踏まえ,2013年度は下記の調査を進めた。①チェーン店,地元商店および移動トラック事業者への聞き取り調査。②全仮設住宅における,買い物環境の定量分析。③仮設住宅団地に住む高齢者への買い物行動に関する聞き取り調査。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地元住民や商業者,行政担当者と頻繁に交流しており,情報収集も計画通りに進んでいる。これまでの研究成果は,下記の2本の論文にまとめてある。 1)岩間ほか.2013.「東日本大震災被災地における食料品小売業の復興プロセスと仮設住宅 居住者の生活環境問題」.E-Journal GEO.7-2:178-196. 2)岩間信之ほか.2014.「商業機能の復興と買い物環境 :岩手県山田町(特集:復興支援 地理学の役割)」.月刊地理 1月号(702号)14-21. 業績1)は,2013年度日本地理学会学術賞(論文発信部門)を受賞した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2014年度は,災害公営住宅移動後における独居老人の生活環境について分析するとともに,これまでの研究成果を踏まえて,生活環境改善のための提言をまとめる。 また,地域へのフィードバックとして,2014年9月13~15日において,岩手県山田町と大槌町においてシンポジウムを開催する予定である。シンポジウムでは,本研究の成果だけでなく,同地域で津波防災などを調査している研究者の成果も報告する。山田町および大槌町からは,共催の承諾を得ている。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度購入予定であった統計ソフト(マルチレベル分析対応ソフト)の購入を2014年度に繰り越したため,次年度使用額が発生した。同ソフトは,今年度購入予定である。 購入する統計ソフトは現在検討中であるが,15~18万円程度のものを検討している。6月中には購入する予定である。
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