研究課題/領域番号 |
24501298
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
田部 俊充 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20272875)
|
研究分担者 |
大西 宏治 富山大学, 人文学部, 准教授 (10324443)
池 俊介 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30176078)
寺本 潔 玉川大学, 教育学部, 教授 (40167523)
永田 成文 三重大学, 教育学部, 教授 (40378279)
志村 喬 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (70345544)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | ESD(持続発展教育) / 地理教育 / マルチスケール / 教材開発 / カリキュラム開発 / 国際比較 |
研究概要 |
平成24年度は,地理教育における ESD教育研究のための基礎データの整理を行った。 第1に日本国内の社会科・地理教育におけるESDの実践事例の収集:日本の小中高等学校における社会科教育,地理教育におけるESDの実践教育事例を収集するとともに,既存の日本の地理教育体系上での位置づけを確認した。 第2に環境教育や理科教育における ESD教育の実践事例の収集:社会科や地理教育以外にも理科や家庭科など様々な分野でESDの実践が試みられている。それらの事例を一定程度収集するとともに,そこで取り扱われている内容に関して地理教育との接点を整理した。 第3に諸外国における教材や実践事例の収集:諸外国での地理教育におけるESDの授業実践と活用されている教材を収集し,その整理を行うとともに,ESDでどのような地図活用が行われているのか,具体的な実践事例を現地調査により収集した。当初は英国のみを想定していたが,IGU-CGE(ドイツ・フライブルク)への参加が認められたためドイツを中心に資料収集を行った。第4に東日本大震災を題材とした授業実践事例の収集:災害の観点からESDの取扱を検討した。第5に日本の地理教育カリキュラムにおけるESD実践可能性の検討:初年度に収集した事例を共有するために,各国のESD教育の整理と比較を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに以下の成果を達成した。1.日本国内の社会科・地理教育におけるESDの実践事例の収集:日本の小中高等学校における社会科教育,地理教育におけるESDの実践教育事例を収集するとともに,既存の日本の地理教育体系上での位置づけを確認した。2.環境教育や理科教育における ESD教育の実践事例の収集:社会科や地理教育以外にも理科や家庭科など様々な分野でESDの実践が試みられている。それらの事例を一定程度収集するとともに,そこで取り扱われている内容に関して地理教育との接点を整理した。 3.諸外国における教材や実践事例の収集:池俊介(2012)ポルトガルの地理学(地學雑誌), 田部俊充(2012):ICT地理プレミアム授業 : 日本にいつ上陸するか(2)アメリカ合衆国の最新ICT地理プレミアム授業 アメリカ合衆国の取り組みに学ぶ(社会科教育),田部俊充(2012): ICT地理プレミアム授業 :日本にいつ上陸するか(3)主役はポリコムの時代!到来の予感 : 世界の最新ICT地理プレミアム授業(社会科教育)といった業績を得た。4.東日本大震災を題材とした授業実践事例の収集:災害の観点からESDの取扱を検討した。大西宏治(2012)地図を活用した防災教育の有効性(新地理),井田仁康・志村喬(2012)::災害と子どもたちの教育を考えるー東日本大震災被災学校の現在とこれからの地理学・地理教育 (日本地理学会公開シンポジウム概要報告)といった業績を得た。5.日本の地理教育カリキュラムにおけるESD実践可能性の検討:初年度に収集した事例を共有するために,各国のESD教育の整理と比較を行った。大西宏治(2013):地図スケールにあわせた地図学習(こどもと地図)といった業績を得た。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目は,マルチスケールのESD教育という着眼点で,各国ESD教育をとらえなおすとともに,日本における実験的なマルチスケールでのESD教材の開発に着手する。 ○ESD実践事例のスケールに応じた整理と分析 今年度も引き続き海外・国内でのESDに関する授業実践やカリキュラムに関する調査 を行いながら,前年度に収集した実践事例をスケールごとに整理し分析する。それぞれのスケールでどのような課題を問題にしているのか,また,スケールを通じて共通する問題意識は何なのかを明確化する。その内容を踏まえ,ESDに関する各国の特徴を明確化する。また,スケールごとに ESDで取り上げるべき課題や教材を開発するとともに,どのスケールでも触れねばならないESDの理念がどのようなものなのか,明確化する。 ○マルチスケールのESD実践教材の検討 田部は実験的なマルチスケールでのESD教材の開発として,都内の小学校で社会科学習と理科学習の連携によりマルチスケールによるESD実践の試行を行いながら,整理と分析を行う予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
本研究では,①海外・国内でのESDに関する授業実践やカリキュラムに関して調査を行うこと,②調査成果を様々な学会で発表すること,③所属機関が離れた研究者どうしが会議を行い,情報の共有化を行うこと。以上の理由から国内旅費,外国旅費の比重が大きくなっている。またESDを取り上げた海外の地理教育教材や国内のESD教材を入手して分析する必要があることから,備品として,これらの書籍の経費を計上を予定している。また,教材の分析や開発に地図データや地図ソフトウエア,統計資料などを新たに購入することを予定している。文献収集の際に複写が必要になることから複写費も計上している。 ①米国での教材や実践事例の分析(田部・寺本・永田):米国の社会科教育でのESDの実践事例を収集し,空間的スケールごとにどのような問題が取り上げられているのかに注目して分析するために,田部と寺本は2013年8月1日~4日にコロラド州デンバーで開催される全米地理教育学会(National Council for Geographic Education)に参加する。 ②英国での教材や実践事例の分析(志村):前年度に引き続き英国での地理教育におけるESDへの取り組みと,現在,利用されている教材を収集する。特に,空間スケールごとに取り上げられている課題に着目して,整理する。 ③東日本大震災を題材とした授業実践事例の収集(池・寺本・大西):前年度に引き続き,東日本大震災に関して,教材化を行う際に空間スケールに着目した整理を行う。国家,地方,都道府県,市町村,コミュニティといった地域スケールの大小がどのように地域開発上の問題と関連するのかを検討し,教材化を目指す。④マルチスケールのESD実践教材の検討(全員):平成24年度に収集・整理した実践事例を共有するための報告会を平成25年8月に京都のIGUに合わせて開催する。
|