研究課題/領域番号 |
24501298
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
田部 俊充 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20272875)
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研究分担者 |
大西 宏治 富山大学, 人文学部, 准教授 (10324443)
池 俊介 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30176078)
寺本 潔 玉川大学, 教育学部, 教授 (40167523)
永田 成文 三重大学, 教育学部, 教授 (40378279)
志村 喬 上越教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (70345544)
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キーワード | ESD(持続発展教育) / 地理教育 / マルチスケール / 教材開発 / カリキュラム開発 / 国際比較 |
研究概要 |
2年目は,マルチスケールのESD教育という着眼点で,各国ESD教育をとらえなおすとともに,日本における実験的なマルチスケールでのESD教材の開発に着手した。 ○ESD実践事例のスケールに応じた整理と分析 今年度も引き続き海外・国内でのESDに関する授業実践やカリキュラムに関する調査 を行いながら,前年度に収集した実践事例をスケールごとに整理し分析した。それぞれのスケールでどのような課題を問題にしているのか,また,スケールを通じて共通する問題意識は何なのかを明確化した。その内容を踏まえ,ESDに関する各国の特徴を明確化した。また,スケールごとに ESDで取り上げるべき課題や教材を開発するとともに,どのスケールでも触れねばならないESDの理念がどのようなものなのか,明確化した。 ○マルチスケールのESD実践教材の検討 田部は実験的なマルチスケールでのESD教材の開発として,都内の小学校で社会科学習と理科学習の連携によりマルチスケールによるESD実践の試行を行いながら,整理と分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2 年目は,マルチスケールのESD 教育という着眼点で,各国のESD 教育をとらえなおすとともに,日本における実験的なマルチスケールでのESD 教材の開発に着手した。 1.ESD 実践事例のスケールに応じた整理と分析(田部・大西)前年度に収集した実践事例をスケールごとに整理し分析する。それぞれのスケールでどのような課題を問題にしているのか,また,スケールを通じて共通する問題意識は何なのかを明確化した。 2.米国での教材や実践事例の分析(田部・寺本・永田)米国の社会科教育でのESD の実践事例を収集するとともに,特に空間的スケールごとにどのような問題が取り上げられているのかに注目して分析した。 3.英国での教材や実践事例の分析(志村・田部)前年度に引き続き英国での地理教育におけるESD への取り組みと,現在,利用されている教材を収集した。特に,空間スケールごとに取り上げられている課題に着目して,整理した。 4.東日本大震災を題材とした授業実践事例の収集(池・寺本・大西)前年度に引き続き,東日本大震災に関して,教材化を行う際に空間スケールに着目した整理を行った。国家,地方,都道府県,市町村,コミュニティといった地域スケールの大小がどのように地域開発上の問題と関連するのかを検討し,教材化を目指した。 5.マルチスケールのESD 実践教材の検討(全員)平成24年度に収集・整理した実践事例を共有するための報告会を平成25年8月25日に開催するとともに,その内容を踏まえ,ESD に関する各国の特徴を明確化した。また,スケールごとにESDで取り上げるべき課題や教材を開発するとともに,どのスケールでも触れねばならないESD の理念がどのようなものなのか,明確化した。
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今後の研究の推進方策 |
3年目は,地理教育におけるESD 教材の開発に着手する 1.各国の地理教育カリキュラムにおけるESD の位置づけの分析(全員)各国の地理教育カリキュラムとESD との関係を地理教育におけるESD の理念や実践の国際比較を行う。どのような点に各国の特徴があるのかを明確化する。 2.マルチスケールでのESD 教育の検討(田部・寺本・永田)初等中等教育におけるマルチスケールでのESD 教育について,児童生徒の発達段階,既存の社会科や地理教育のカリキュラムの中で実施するための方策を検討する。特に,観光開発,公害問題といったスケールにより取り上げる問題の質が変化するテーマを取り上げる教材開発を行うその際,地図や地球儀を活用する技法についても検討する。 3.日本におけるモデルカリキュラム構築(田部・池・志村・大西)日本の地理教育におけるモデルカリキュラムや実践教材の開発に着手する。各国で取り上げられているESD の理念を日本に導入する方法や既存のカリキュラムと親和性を持たせた教材のあり方を検討する。 4.東日本大震災を題材とした教材開発(池・寺本・大西)東日本大震災を教材化し,その授業実践の方法を検討するとともに,授業実践を実施する。 5.研究成果のとりまとめと研究成果の公開(全員)これまでの調査結果を取りまとめて,日本地理教育学会でシンポジウムを開催して,成果を学会員に公表する。また,全米社会科教育学会や全米地理教育協議会などでも発表し,海外の研究者と積極的に情報交換を行う。研究成果は『地理教育における持続可能な開発のための教育の実践』として,ESD の理念や日本の地理教育における位置づけ,実践事例を集めた報告書を作成する。また,研究成果について地理教育を専門としない学校教員でも容易に読めるように簡潔にまとめた書籍としてまとめることも計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度に予定していた人件費の執行が,研究成果のまとめが遅れたことによって執行できなかった。 26年度には研究成果のまとめを行うための補助をお願いし,人件費の執行を行いたい。
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