主な研究成果は、東アジア海域における19世紀の海図作成の過程を明らかにしたことである。主な調査先は、アメリカ議会図書館とアメリカ国立公文書館であった。両機関において、日本のほか、英仏米露国製海図の調査を実施した。19世紀中頃までの東アジア沿岸部は、未だ近代的海図が整備されない地域であったが、西洋各国による通商や軍事的行為の過程で、次第に海図が整備されていった。その際、西洋各国は相互の情報を時に共有しつつ、海図を充実させていった。明治維新後の日本は、それら西洋の海図をコピーしながら周辺地域の地図を作成していった。それらの地図は、日本政府が東アジアに進出する足がかりの一つとなったことが分かった。
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