組織幹細胞の老化は神経変性疾患や癌などの加齢関連疾患の発症に深く関与している。われわれは、クロマチンリモデリング因子CHD8がp53に結合し、アポトーシスを抑制することによって発生期の器官形成に重要な役割を果たしていることを発見した。その後、CHD8はp53誘導性のアポトーシスだけでなく細胞老化も抑制し、強力な発癌活性を示すことが明らかになった。また最近、自閉症スペクトラム障害の最も有力な原因候補遺伝子としてこのCHD8が同定され、世界中で大きな反響を呼んでいる。われわれの研究によって、CHD8は神経幹細胞機能の維持に必須であり、CHD8へテロ欠損マウスは自閉症様症状を呈することが判明した。
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