がんや生殖細胞系列で見つかる染色体転座は、異なる染色体の切断端が再結合して形成される。しかしなぜ物理的に遠位にある染色体同士が再結合されるのか、不明な点が多い。本研究では、ヒト男性精子中に数万分の1で発生する均衡型相互転座の原因となるパリンドローム配列に着目し、その特殊なDNA配列が形成するDNA高次構造が核内でどのような相互作用を起こすかどうかを検討した。その結果、核内で内在の2つのDNA修復酵素によって切断されることが確認され、また別の特殊なDNA構造についても核内代謝に影響を及ぼすことを明らかにした。核内配置はその配列の特殊性からくる困難さにより今後の検討課題となった。
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