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2013 年度 実施状況報告書

低分子阻害剤スクリーニングに向けた癌幹細胞モデルライブラリーの作製と解析

研究課題

研究課題/領域番号 24501315
研究機関岡山大学

研究代表者

水谷 昭文  岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (50598331)

研究分担者 妹尾 昌治  岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (90243493)
キーワードがん幹細胞 / iPS細胞 / 脂肪肉腫 / がん幹細胞ニッチ / スクリーニング
研究概要

平成25年度では、新たにマウスルイス肺がんの分泌するエクソソームを用いてiPS細胞からがん幹細胞の作製をおこなった。がんの分泌するエクソソーム存在下で培養したiPS細胞はヌードマウスに移植すると、脂肪肉腫様の腫瘍を形成した。これまでに作製していたがん細胞株の培養上精を用いてマウスiPS細胞より誘導したがん幹細胞株(癌腫様)に加えて、低分子化合物による生育阻害効果検証の対象細胞として使用した。
一方で、iPS細胞から作製したがん幹細胞、及びそれより分化したがん細胞の分泌する因子が、がん幹細胞の自己複製、分化を制御しており、がん幹細胞が自ら、自身の運命をコントロールする微小環境を形成していることを明らかとした。この知見に基づき、低分子化合物のがん幹細胞の生育阻害効果の検証では、がん幹細胞ニッチを模倣するため、iPS細胞由来がん幹細胞、及びその分化がん細胞(miPS-CSC細胞)の培養上清を添加する系を構築した。
前年度までにスクリーニングで得られた候補化合物(バフィロマイシンA1、ダウノルビシン)の生育阻害効果を9種類のmiPS-CSC細胞に対して精査し、両薬剤の各々の細胞に対するIC50値を求めた。両薬剤はmiPS-CSC細胞に対して数nMから数10nMの濃度で生育阻害効果を示したことから、抗がん幹細胞薬として有望と考えられた。
また、表面抗原遺伝子を中心としたDNAマイクロアレイ解析を行い、miPS-CSCに共通して発現する遺伝子の検索を行い、これまでに数種類の候補遺伝子を抽出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度までに、癌腫様のがん幹細胞、肉腫様のがん幹細胞をマウスiPS細胞から作製している。その中でmiPS-LLCcm(マウスルイス肺がん細胞株の培養上清を使用してがん幹細胞化)を使用して190種の低分子化合物より、miPS-CSC細胞の生育を効果的に祖顔する薬剤2種類を得ている。これらの薬剤は、本研究で作製している一連のmiPS-CSC細胞に共通して有効であることを見いだしている。また、がん幹細胞標的化に使用する細胞表面蛋白質の遺伝子についてのDNAマイクロアレイを行い、標的候補となる遺伝子を数種類得ている。
本年度までに、がん幹細胞を標的とするDDS開発に向けた薬剤、標的遺伝子候補が得られており、本研究の目的達成にむけて、おおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

これまでのスクリーニングで得られた薬剤は、リポソーム等を利用したドラッグデリバリーシステム(DDS)へ応用していく。ダウノルビシンの類自体であるドキソルビシンは既にリポソーム化されており、その系を利用する。これらを用いて、in vitroでのがん幹細胞に対する薬効評価系を構築し、評価する。
一方で、標的遺伝子については、正常組織でのその発現を確認し、がん幹細胞で有為に高発現している遺伝子を選択していく。また、ヒトがん細胞株でのこれらの候補遺伝子の発現を検証する。また、特異的抗体が利用可能である場合は、イムノリポソームの作製を試み、がん幹細胞を標的とするDDS製剤のプロトタイプの作製を試みる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) 産業財産権 (2件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] Cancer stem cells maintain a hierarchy of differentiation by creating their niche2014

    • 著者名/発表者名
      Matsuda S, Yan T, Mizutani A, Sota T, Hiramoto Y, Prieto-Vila M, Chen L, Satoh A, Kudoh T, Kasai T, Murakami H, Fu L, Salomon DS, Seno M
    • 雑誌名

      International Journal of Cancer

      巻: 135 ページ: 27-36

    • DOI

      10.1002/ijc.28648.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Cancer stem cells maintain a hierarchy of differentiation by creating their niche2014

    • 著者名/発表者名
      Matsuda S, Ting Y, Mizutani A, Murakami H, Seno M
    • 学会等名
      第7回高度医療都市を創出する未来科学技術国際シンポジウム
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      20140207-20140207
  • [学会発表] Characterization of cancer stem-like cell converted from mouse iPS cell by tumor derived exosome/microvesicle2013

    • 著者名/発表者名
      Ting Y, 水谷昭文、村上宏、妹尾昌治
    • 学会等名
      第17回生体触媒化学シンポジウム
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      20131220-20131221
  • [学会発表] Characterization of cancer stem-like cell converted from mouse iPS cell by tumor derived exosome/microvesicle2013

    • 著者名/発表者名
      Ting Y, Mizutani A, Chen L, Hiramoto Y, Takaki M, Murakami H, Seno M
    • 学会等名
      第36回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131203-20131206
  • [学会発表] In vitro niche created by cancer stem-like cells derived from mouse induced pluripotent stem cell2013

    • 著者名/発表者名
      Mizutani A, Matsuda S, Ting Y, Sota T, Kasai T, Murakami H, Kudou T, Seno M
    • 学会等名
      American Association for Cancer Research Anuual Meeting 2013
    • 発表場所
      アメリカ ワシントンDC
    • 年月日
      20130406-20130410
  • [産業財産権] がん幹細胞及びその用途2014

    • 発明者名
      妹尾昌治、水谷昭文、笠井智成
    • 権利者名
      岡山大学
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2014-014778
    • 出願年月日
      2014-01-29
  • [産業財産権] がん幹細胞を含む細胞集団を得る方法2014

    • 発明者名
      妹尾昌治、水谷昭文、笠井智成
    • 権利者名
      岡山大学、LSIPファンド運営合同会社
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2014/057572
    • 出願年月日
      2014-03-19
    • 外国

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公開日: 2015-05-28  

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