研究課題
平成26年度では、がん幹細胞モデル細胞miPS-CSCsを効果的に殺傷する薬剤(前年度までに見出した二種)の、分子標的薬(DDS)化を見据え、がん幹細胞表面発現している蛋白質の遺伝子の、正常マウス組織での発現分布を検証した。これまでに、マウスiPS細胞と比較して数種類の遺伝子がmiPS-CSCで高発現していることを見出したが、今回、報告されている機能を元にSema4d、EphA1、EphA2、Dll1遺伝子に着目して、正常マウスで種々の組織についてその発現をRT-PCR法により確認したところ、Sema4d、Dll1は肺と脾臓に、EphA1、EphA2は肝臓および肺で高く発現していた。これらの遺伝子はいずれもがん幹細胞で高発現していたものとして候補に挙げられたが、ドラッグデリバリーシステムにおいて、標的遺伝子の選択には、周囲の正常組織での発現も踏まえて、腫瘍が形成された組織別に選択する必要がある。薬剤スクリーニングより得られたDaunorbicin、Bafilomycin A1について、細胞死の機構を再度検証したしたところ、両薬剤共にアポトーシスを示すDNAラダーの出現が確認され、miPS-LLCcmでアポトーシスを誘導することが確認された。Bafilomycin A1については、その作用点(V-ATPase阻害)とアポトーシス誘導機構の解明は今後の課題である。一方、DaunorbicinはmiPS-LLCcmがん幹細胞と分化がん細胞では、応答が異なっており、細胞の形態変化から幹細胞ではアポトーシスが、分化がん細胞では細胞周期のアレストが起きていると推測された。本細胞は、がん抑制遺伝子p53のDNA障害時にアポトーシスや、細胞周期制御の解析によい対象となると期待される。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件)
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