研究課題/領域番号 |
24501316
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
梅田 一彰 熊本大学, 生命科学研究部, 講師 (80444876)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | インテグリン / エンドサイトーシス |
研究概要 |
膜たんぱく質であるインテグリンは、細胞外では細胞外基質と結合し、細胞内ではタリンやパキシリンを介して主にアクチン系細胞骨格と結合している。インテグリンは、細胞運動や増殖などの様々な機能に関与していると考えられている。よって、膜上に局在するインテグリンの量を制御するエンドサイトーシス機構の解明は、重要であるにもかかわらず、詳細は不明である。本研究では、膜タンパクであるインテグリンの細胞内領域がユビキチン化されることで、インテグリンがエンドサイトーシスされるとの仮説を立て、解析を行っている。 今年度は、インテグリンα5β1変異体を発現する細胞の作製と解析を行った。インテグリンα5およびβ1の細胞内領域のリジンをすべてアルギニンに置換することで、ユビキチン化されないα5とβ1の変異遺伝子を作製した。4種類の安定発現細胞株(野生型α5野生型β1、野生型α5変異型β1,変異型α5野生型β1、変異型α5変異型β1)を作製し、それぞれのユビキチン化の有無とエンドサイトーシス量を測定した。インテグリンのエンドサイトーシス量の測定は、細胞膜上と細胞内に存在するインテグリンを区別するため、細胞膜上のタンパク質をビオチン化、または細胞膜上のインテグリンを抗体ラベルした。いずれの方法も、細胞膜上のインテグリンをラベルした後、一定時間細胞内に取り込ませ、エンドサイトーシス量を定量する方法である。インテグリンの定量は、ウェスタンブロッティング法を用いた。その結果、変異型α5変異型β1の組み合わせでのみ、エンドサイトーシス量が減少した。一方、野生型α5変異型β1,変異型α5野生型β1は、いずれも、エンドサイトーシス量が野生型α5野生型β1と同等であった。よって、インテグリンα5β1のエンドサイトーシスには、両α5β1の細胞内領域のユビキチン化が必須であることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、インテグリンα5β1のユビキチン化がエンドサイトーシスに必須であることを明らかにすることを目標にしている。研究実績の概要でも述べたとおり、ユビキチン化されないα5β1の変異体を作製し、これら変異体のエンドサイトーシス量を測定した結果、インテグリンα5β1のエンドサイトーシスには、両α5β1の細胞内領域のユビキチン化が必須であることを明らかにした。この結果は、本研究の根幹をなすものであり、研究がおおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、インテグリンα5β1のユビキチン化がエンドサイトーシスに必須であることを明らかにした。次年度は、インテグリンをユビキチン化する酵素の同定を行う予定である。現在知られているユビキチン化酵素をノックダウンして、インテグリンα5β1のエンドサイトーシス量が減少するか否かを指標に、インテグリンのユビキチン化酵素を探索する。また、明らかとなった同定ユビキチン化酵素のドミナントネガティブ変異体を作製し、インテグリンのユビキチン化やエンドサイトーシスが抑制されるか否かを調べる。さらに、同定したユビキチン化酵素の結合タンパク質の探索も計画している
|
次年度の研究費の使用計画 |
旅費として計上していた10万円を本年度は使用しなかったため、「次年度使用額」、87,075円が生じた。翌年度以降請求する研究費と合わせて、試薬や消耗品の購入、および旅費として使用予定である。
|