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2013 年度 実施状況報告書

がん細胞でのYB-1の機能解析と発現意義―統合的理解へ向けて―

研究課題

研究課題/領域番号 24501323
研究機関産業医科大学

研究代表者

河野 公俊  産業医科大学, 名誉教授, 名誉教授 (00153479)

研究分担者 笹栗 靖之  産業医科大学, 医学部, 教授 (60140646)
王 克ヨン  産業医科大学, 産業医学研究支援施設, 准教授 (30369053)
キーワードがん制御遺伝子
研究概要

YB-1 の統合的理解にむけて、本研究では、がん細胞と血管内皮等の正常細胞内とでのYB-1の役割を統合的に理解するため、①核内機能、②会合分子解析、③YB-1結合microRNA解析、④YB-1の発現制御に関わる転写因子の解析を進める。本年度は①②新しい会合分子の同定と④臨床試料での発現解析を進めた。
1.新しい会合分子と機能解析
真核細胞のDNAトポイソメラーゼは、I型(TOPO1)とII型(TOPO2)が知られており、DNA鎖の切断と再結合に関与するDNA複製関連酵素である。一般的に増殖能の高い細胞で高発現しており、その阻害剤は抗がん剤として臨床で使用されている。我々は、今回YB-1が直接TOPO1と分子会合して、TOPO1の酵素活性を促進することを見出した。がん細胞をTOPO1阻害剤カンプトテシン(CPT)で処理すると、YB-1とTOPO1の間の分子会合は増加した。一方、TOPO2阻害剤アドリアマイシンでは分子会合の増加は観察されなかった。このCPT誘導性の分子会合増加は、抗酸化剤であるN-アセチル・システインで前処理すると阻害された。さらに、siRNAでYB-1の発現を抑制するとCPTに耐性を示した。これらの結果から、核内YB-1がTOPO1との直接的な分子会合を介してCPT感受性を増強すると考えられた。
2.臨床試料での発現解析
胃がんの種々の組織型でのYB-1の発現に特徴があることから、胃がんにおける腫瘍血管での発現との関連を解析し、新知見が得られた。悪性胸膜中皮腫症例をモデルとして、組織型、臨床病理学マーカーとYB-1の発現を検討した。特にYB-1の発現を制御する上皮・間葉移行にかかわる転写因子Twistを含め上皮・間葉移行にかかわるマーカーとともに解析しその結果を報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

25年度予定の約80%は達成している。一部計画順序の変更した会合分子の解析は順調に進んだ。25年度の研究成果は一部先行させて投稿を行なったことにより、研究①②④計画は順調に進んでいると判断している。③YB-1結合マイクロRNAの発現プロファイル解析は残念ながら一部機能解析は進んだが、標的分子は明らかになっていない。臨床試料での解析も悪性中皮腫については転写因子Twistを含め報告をすでに終え、胃がんについては新知見をまとめ、投稿している。

今後の研究の推進方策

最終年度は申請時計画した4課題に全力で取り組み、結果を出すことに鋭意努力する。
特にYB-1の機能とがん治療についてまとめ論文化したいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

試薬の購入金額が予定額より安くなっており、予算から171,030円が余った。
26年度の研究物品費として利用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Peroxiredoxins, thioredoxin, and Y-box-binding protein-1 are involved in the pathogenesis and progression of dialysis-associated renal cell carcinoma2013

    • 著者名/発表者名
      Fushimi F., Taguchi K., Izumi H., Kohno K., Kuwano M., Ono M., Nakashima Y., Takesue T., Naito S., Oda Y.
    • 雑誌名

      Virchows Archiv

      巻: 463 ページ: 553-562

    • DOI

      10.1007/s00428-013-1460-y.

    • 査読あり

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公開日: 2015-05-28  

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