今後の研究の推進方策 |
免疫制御技術による効果的な免疫細胞治療の開発と臨床効果を予測するバイオマーカーの検索する。 腫瘍の微小環境内では、①腫瘍細胞によるエフェクター細胞に対する抑制性のシグナル分子の発現(CTLA-4/B7, PD-1/PD-L1)、②抑制性因子の産生(IL-10, TGF-β, galectin-1, ganglioside, PGE2)、③アポトーシスを誘導する因子の産生(FasL, TRAIL, IDO)、④DCの分化と成熟を抑制する因子(Stat3, VEGF, IL-10, SOCS1, Arginase)の産生、⑤抑制性細胞 (CD4+CD25+ regulatory T cell, Tr1 cells, IL-13 producing NKT, Myeloid derived suppressor cell, subset of pDC & mDC) の誘導を促進するような因子が誘導されている。 これらの標的分子やそれを発現する細胞に影響を与える可能性がある薬剤として、シクロスポリン、フルダラビン、ゲムシタビン、トレチノインなどの抗悪性腫瘍薬や、抗CTLA-4抗体、抗PD-L1抗体、TGF-β阻害剤、COX-2阻害剤、Stat3阻害剤、1-metyltryptophan(IDO阻害剤)、PDE阻害剤、抗VEGF抗体など、上記の免疫抑制の各ステップに作用する薬物を治療モデルマウスに投与し、抗腫瘍免疫応答の増強を試みる。分子生物学・細胞生物学・免疫組織化学的手法を統合的に用いて抗腫瘍免疫動態を解析し、治療効果を予測するバイオマーカーを検索する。
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