研究課題/領域番号 |
24501330
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
下平 滋隆 信州大学, 医学部附属病院, 准教授 (80345751)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 樹状細胞 / G-CSF / 接着因子 / キラー活性 |
研究概要 |
古典的IL-4+GM-CSFを用いた接着法による樹状細胞(IL-4-DC)ワクチンの製造工程に関しては、後方視的臨床分析により、アフェレーシス(成分採血)の16~18時間前に少量のG-CSF(75μg filgrastim)を使用した場合、原料となる単球数は1.5倍に増加、作製DCでは特徴としてCD11c+CD14-CD80+の表現型が増加した。PCRアレイを用いた接着因子群の遺伝子解析によりMMP-9が有意な増加を示し、MMP-9の阻害薬を添加した培養により、作製DC数が有意に低下した。以上のことからMMP-9を介した接着因子の活性化によるIL-4-DCの製造効率が有意に増加することを見出した。特願:2013-028118 特許名称 : G-CSFを用いた樹状細胞の調製方法の知財化を行い、本特許に関する学術論文の報告は現在進行中である。 DC製造工程の細胞分離に関しては、単球の分離を目的とした分離装置(出願番号:特許2012-086514,特願2012-086515)の技術の改良を進め、DCの精製に適用できる評価を進めた。また、分離装置に関しては、米国の国際特許申請(出願番号:13/849,045および13/849,116)を行った。 臨床試験に使用できる新規DCワクチンを製造するために、がんを殺傷する力、即ちキラー活性を有するDC作製技術の構築を推進した。免疫賦活剤の中で、使用期間、濃度、細胞調製試薬との組み合わせなどを検証し、キラー活性を約2倍から3倍に増幅し得る免疫賦活剤を見出した。また、従来のIL-4-DCの培養工程より2~3日間短縮することが確認された。その免疫賦活剤を用いた作製法によるキラーDCの機能解析をNK活性、ELISPOT法、抗原提示能、貪職能の分析を含め詳細に評価している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
樹状細胞製造ワクチンの工程において、G-CSFを用いた接着因子の活性化による製造効率が有意に増加することを見出し、知財化した。 単球の分離を目的とした分離装置の技術の改良を進め、DCの精製に適用できる改良を進めた。 臨床試験に使用できる新規樹状細胞ワクチンを製造するために、がんを殺傷するキラー活性を有する樹状細胞の作製技術の構築を推進した結果、キラー活性を約2倍から3倍に増幅し得る免疫賦活剤を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
革新的キラー活性を有するDCワクチンの進歩性を証明し知財化する一方で、臨床試験に適用できるようにクラスIIヘルパー人工がん抗原との最適化を図る。 GMP基準の製剤としてヒトの介入研究のためには、GMP適合(医薬品グレード)の細胞調製試薬、閉鎖系培養法の確立、分離装置を独自の調製技術に適用させることは課題である。 標準作業手順工程を完成させ、動物を用いた安全性試験、キラー作用などの効能評価試験を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
既に分析機器等の備品の基盤整備はされているので、キラーDCワクチン製造法の確立のためにGMP適合(医薬品グレード)の細胞調製試薬、閉鎖系培養法の資材、安全性試験のための動物、キラー活性の効能評価のために試薬・資材等の消耗品費に充てる。 キラーDCワクチン製造法および品質分析の成果に関して、学術報告のための英文校正および発表のための国内旅費に充てる。
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