研究課題
最終年度は、がん細胞選択的に細胞死(apoptosis)を誘導できるTRAIL (TNF-related apoptosis-inducing ligand) 分子が、ヒト膵がん細胞に対するapoptosisの誘導において、抵抗性機序として誘導されるautophagyを抑制することにより、apoptosis誘導が増強できるか検討した。autophagy阻害剤としてマラリア治療薬として臨床で使用され安全性が確認されているchloroquineを用いた。まず、ヒト膵癌細胞株(MiaPaca-2、Panc-1)のいずれの細胞株にもTRAILの受容体であるdeath receptor (DR4、DR5) を発現していたが、MiaPaCa-2はTRAILに高感受性だったがPanc-1はTRAIL低感受性だった。両細胞株はchloroquineに濃度依存的な感受性を示したが、それぞれのsuboptimal濃度でMiaPaCa-2はTRAILに対して相加的な抗癌効果を示した。その機序として、apoptosisの誘導とともにコロニー形成能を低下させることが確認された。また、chloroquine単独では、癌細胞にG2/M arrest を誘導することを確認した。さらに、MiaPaca-2とPanc-1において、autophagy関連分子であるbeclin-1の発現をsiRNAで選択的に低下させると、TRAILに対する感受性が有意に増強されることを細胞分子レベルでも確認できた。さらに、免疫不全マウスにヒト膵がん細胞MiaPaCa-2を皮下接種したモデルを用いて、TRAILとchloroquineの併用によりin vivo でも抗がん効果が増強されることを in vivo でも確認した。以上より、ヒト膵癌細胞に発現するdeath receptor を標的としたTRAILに基づくがん治療にchloroquineを併用することの有効性が明らかになった。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Cancer Science
巻: 106 ページ: 9-17
10.1111/cas.12568.
Journal of Gastroenterolog
巻: 50 ページ: 65-75
10.1007/s00535-014-0933-3.
International Immunopharmacology
巻: 26 ページ: 133-138
10.1016/j.intimp.2015.03.023.
Molecular Cancer
巻: 13 ページ: 217
10.1186/1476-4598-13-217
Oncotarget
巻: 5 ページ: 11399-11412
巻: 20 ページ: 59-65
10.1016/j.intimp.2014.02.018.
http://www.med.shimane-u.ac.jp/immunology/index.html