研究課題/領域番号 |
24501332
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北海学園大学 |
研究代表者 |
小山 芳一 北海学園大学, 工学部, 教授 (90186841)
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研究分担者 |
加藤 琢磨 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60224515)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ワクチン療法 / 抗自己サイトカイン / DNAワクチン / IBD / 発がん |
研究概要 |
従来のマウス MIF DNA ワクチンのデザインを基に新規 MIF-DNA ワクチンを立案し、設計するのが本年度の計画である。 用いる Th エピトープは、従来型では破傷風毒素(TTX)由来のものだが、本研究では新たに卵白アルブミン(OVA)、卵白リゾチウム(HEL)、さらにに破傷風毒素に関しては活性を増強することが知られている TET830 をはじめとする数種類を候補とし、それぞれQAVHAAHAEINE、SALLSSDITASVNCA、AQYIKANSKFIGITELを選びその配列を含む新規MIFワクチンをデザインした。従来型ワクチンではMIF立体構造の2番目のループをThエピトープで置換した変異MIFをワクチンとしたが、中和抗体誘導に効果的であったので本研究でもまず最初に同じ位置にエピトープを置換挿入することとした。この方針に基づき、現行のワクチンを鋳型としてThエピトープをコードするプライマーを用い、上記の Th エピトープを含む新規改変型 MIF 発現プラスミドの一部を作製した。一方、平成25年度におけるワクチンによる発がん抑制実験の予備実験として、大腸発がんモデルを作製し、このモデルにおける発がんの時期を明からにした。AOM(10 mg/kg)を投与しその1週間後に1% DSSを飲水にて反復投与(7日間連続、7日間休止を3サイクル)を開始して大腸発がんを誘発した結果、およそ70日で全てのマウスの大腸に腫瘍の発生を認めた。組織染色の結果、全ての腫瘍は腺癌化していることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規 MIF-DNA ワクチンを立案、設計するのが本年度の計画である。年度内に次年度以降に用いる新規ワクチンを2種類(OVA型(Thエピトープ:QAVHAAHAEINE)およびHEL型(Thエピトープ:SALLSSDITASVNCA)デザインし、作製を完了した。また、破傷風毒素由来ThエピトープAQYIKANSKFIGITELを持つ新規MIFワクチンも現在デザインを行っている。ワクチンによる抗体誘導能を確認する実験を準備中であり、新規ワクチンが揃い次第実験を開始する。一方、大腸発がんモデルにおける発がんの時期を明からにした。このモデル作製を上述した方法により試みたところ、およそ70日で全てのマウスの大腸に腫瘍の発生を認めた。ワクチンの設計・製作は年度計画の半分以上は終わり、あとは抗体誘導能の確認実験を残すのみである。また大腸発がんモデルの作出と評価も前倒しで進んでいる。以上、本研究は全体としてほぼ順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
1.MIF-DNAワクチンによる抗MIF自己抗体誘導能の評価:従来型および今回準備した新規MIF-DNAワクチンを電気穿孔法にてマウスの脛骨筋内に接種する。以後、経時的に血中の抗MIF抗体価をELISAで測定し、ワクチンの抗体誘導能を評価する。 2.MIF-DNAワクチンによる大腸発がん抑制の評価:AOMと DSSによる炎症誘発大腸発がんモデルを用いて、緩解期(DSS休止時)あるいは増悪期(DSS投与時)にMIF-DNAワクチンを電気穿孔法にて接種する。血中の抗MIF抗体価とMIF量をELISA法にてモニターしつつ経時的に大腸組織の病理と炎症性サイトカイン発現を解析し、大腸炎症罹患患者を摸した治療モデル系に於けるMIF-DNAワクチンの大腸発がん抑制作用を明らかにし、治療法としての有効性を以下の項目を検討することで明らかにする。①免疫組織染色により炎症関連発がんのバイオマーカーである8-NGと酸化的DNA損傷の指標として広く用いられている8-oxodG発現を解析する。また大腸前癌病変の指標であるaberrant crypt foci(ACF)b-カテニン蛋白蓄積大腸異常陰窩巣(BCAC)の発現を指標として早期の発がんが抑制されるかを検討する。②HE染色により、大腸がんの発生率、進行度合いを明らかにする。③免疫組織染色ならびにリアルタイムPCR法にて、大腸炎症関連発がんに関与しているIL-1b,IL-6,IL-23,TNFaなどの炎症性サイトカインやCOX-2発現におよぼす、MIF-DNAワクチンの作用を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
ワクチン作成用生化学・分子生物学試薬一式、培地、ワクチン接種マウス、炎症誘発大腸発がんモデルに必要なマウス、免疫組織染色に必要な抗体、リアルタイムPCR用試薬等の購入費用
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