研究課題
私たちは、Warburg効果によって、がんから多量に分泌される乳酸の免疫細胞に対する影響を調べ、乳酸イオンが、IL-23産生やIL-23産生非依存的IL-17産生の増強を示す事、プロトンが、アルギナーゼ1の産生増強に関わる事を示してきた。また、ピルビン酸脱水素酵素キナーゼ阻害剤であるジクロロ酢酸は、乳酸イオンとプロトンによるシグナル経路の両方の作用を抑制する事によって、担がん個体の免疫状態を改善し、インターフェロンβによる抗がん免疫効果を増強した。それ故、より効果的な免疫療法には、乳酸イオンやプロトンのシグナル経路の解明が重要であると考えられた。そこで、IL-23のプロモーター領域を、ルシフェラーゼ遺伝子を用いて解析し、乳酸イオンに応答する領域を同定した。IL-23遺伝子上流2.7kbpの中に、乳酸応答領域は、遠位部に1ヶ所、近位部に2ヶ所存在した。近位部の2カ所の配列は全く同じで、一方の配列を破壊すると、近位部の乳酸応答活性が消失した事から、近位部の2ヶ所の配列は互いに協調して働いている事が予想された。一方、遠位部と近位部の領域は、独立して働いているようであった。また、プロトンイオンに応答する領域も、アルギナーゼ1の上流領域3.2k内に存在した。また、このプロトンシグナルには、cAMP/PKAシグナル経路の関与が予想された。今後、これらの領域に応答する転写因子を同定する事によって、乳酸およびプロトンシグナル経路を明らかにし、担がん個体の免疫状態を改善するターゲットを同定していく予定である。
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