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2012 年度 実施状況報告書

予後改善を目指した膵悪性腫瘍の統合的病態解明と新規治療標的の探索

研究課題

研究課題/領域番号 24501337
研究種目

基盤研究(C)

研究機関千葉大学

研究代表者

石原 武  千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (60312948)

研究分担者 多田 素久  千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00554239)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード膵腫瘍
研究概要

膵悪性腫瘍には通常型膵癌や膵管内乳頭粘液性腺癌(Intraductal papillary mucinous carcinoma=IPMC)、膵内分泌癌などがあるがいずれも予後不良である。診断時にすでに局所進行していたり、他臓器への転移や腹膜播種のある切除不能例が80%を占め、放射線療法や全身化学療法の適応となる。しかしながら、現時点では膵癌に対して有力な全身化学療法が存在せず、新たな観点から治療戦略をたてる必要がある。癌が非癌組織とちがいWarburg効果と呼ばれる、独自のエネルギー代謝系統を持っていることは古くから知られている。今回の研究では癌に特異的なエネルギー代謝に着目し、新規治療標的を見出すことを目的とした。平成24年度は、外科的切除後に速やかに-80℃に凍結された膵癌10例、膵管内乳頭粘液性腺腫(Intraductal papillary mucinous adenoma, IPMN)5例、IPMC5例の計20例につき、キャピラリー電気泳動-質量分析装置(capillary electrophoresis-mass spectrometry:CE-MS)を用いて腫瘍部、非腫瘍部組織の網羅的メタボロームの測定を行った。また、グルコースに関しては液体クロマトグラフィー-質量分析装置(LC-MS)を用いて定量値を算出した。今回の解析では、グルコース下流の中心代謝経路(解糖系、ペントースリン酸回路およびTCA回路)のほか、アミノ酸の異化資化経路やプリン代謝、ピリミジン代謝、尿素回路の代謝中間体につき、臓器1gあたりのモル量(nmol)を算出し、全サンプルの平均値を、まずは腫瘍部・非腫瘍部で比較検討した。その結果、これまでの胃癌、大腸癌での報告同様、腫瘍部では非腫瘍部に比べて、グルコースの低下がみられ、一方で乳酸の増加がみられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

やや症例蓄積が遅延している印象はあるが、豊富な消化酵素により組織のダメージをうけやすい膵組織を用いつつも順調に網羅的解析がすすんでいるため上記評価とした。

今後の研究の推進方策

当初の予定よりやや症例集積が遅延していたため、当該研究費が生じたが、今後はなおいっそう症例の蓄積をはかるとともに、CE-MSを用いた網羅的メタボローム解析を進めていき、腫瘍部、非腫瘍部のプロファイルを比較することで、腫瘍部で特異的に障害されているエネルギー代謝経路を見出す。一方で、膵癌、IPMC、IPMAのメタボロームプロファイルを比較検討することで、各腫瘍の病態解明にも迫る。また、研究計画にもあるように膵液や血液などの生体試料を用いたバイオマーカーの検討も進めていく。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度は当初の予定よりも症例集積が遅延したため、その解析費用として計上していた研究費が未使用額となったが、今後さらに膵腫瘍の網羅的メタボローム解析を進めていく。そのための試薬代などで研究費を使用すると同時に、当初予定していた膵液、血液を用いたバイオマーカーの検討のための試薬代としても使用していく。

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公開日: 2014-07-24  

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