研究課題/領域番号 |
24501338
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
佐藤 守 千葉大学, 医学部附属病院, 寄附研究部門教員 (20401002)
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研究分担者 |
曽川 一幸 麻布大学, その他部局等, 講師 (50436440)
吉富 秀幸 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60375631)
宮崎 勝 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70166156)
野村 文夫 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80164739)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | プロテオミクス解析 / 抗癌剤耐性 / 膵臓癌 / 培養細胞 / SILAC |
研究概要 |
膵癌は消化器癌の中でも予後不良の疾患であり、特に薬剤に対する治療抵抗性が治療成績を悪化させる一因となっている。そこで本研究では、Gemcitabine(GEM)耐性膵癌細胞株を用いてプロテオーム解析を行い、①細胞成分から新規GEM 耐性因子を同定・機能解析を行い臨床的関連を明らかにし、新しい治療標的分子として、特に個別化治療への応用を目的とする。 ②培養上清から細胞が分泌・逸脱する診断マーカー候補タンパク質・ペプチドの探索・同定を行う。その後、患者血清・血漿を用いて分泌タンパク質・ペプチドを定量評価を行い、抗癌剤の各症例への有効性が評価できる診断薬・診断法を開発を目的としている。 本年度は①の新規GEM 耐性因子を同定・機能解析を重点的に行った。野生株と耐性株を比較した結果、抗癌剤耐性株で発現増加または低下する200以上のタンパク質を比較定量・同定することができた。変動量の大きいものからWestern Blotting(WB)でのバリデーションを行っており、現在までに30タンパク質がWBでも同様の発現パターンが確認できている。WBで確認できた抗癌剤耐性株で発現上昇しているターゲットタンパク質のsiRNAを用いた実験で抗癌剤に対する耐性の低下がみられている。このようなターゲットタンパク質は今後の治療標的として有望である。 また、抗癌剤耐性株で高発現しているタンパク質は血清中への分泌・逸脱している可能性が高い。そこで、血清中での診断を目的とした定量測定を目指して定量法の確立も進めている。現在までに血清20uLを用いてケモカイン、インターロイキン等が検出できるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画では I) SILAC 法による細胞培養と培養上清採取、II-a) 抗癌剤耐性因子の探索・検証(細胞中のタンパク質成分)、II-b) 抗癌剤耐性診断マーカー候補の探索・検証(培養上清中のタンパク質成分)を行う予定であった。 安定同位体標識アミノ酸を添加した培地で野生株・耐性株の培養を行った。野生株・耐性株ともに、Light・Heavyでの標識を行うことで実験の再現性を確認することができた。また、SILAC では細胞が安定同位体標識アミノ酸を使うため透析したFBS を用いるので成長因子が少ない。そこでWB での確認用サンプルとして通常培地の培養・タンパク質取得も行った。培養細胞は細胞分画を行い細胞質・ミトコンドリア・核画分を取得し、可溶化度の違いから、膜リッチな画分も取得した。これまでにGeLC-MS/MS測定、同定・比較定量が終了している。変動量の大きいものからWBでのバリデーションを行っており、現在までに30タンパク質がWBで確認できている。ターゲットタンパク質のリスト化ができたことは非常に重要なことで、計画が順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の達成度はおおむね順調であったが、次年度以降の研究計画で抗癌剤耐性因子タンパク質の機能解析、耐性因子としての絞込みを計画していた。この準備のため遺伝子導入システムを購入を予定で準備を進めてきたが、2社のシステムで試みたが、良い結果が得られなかったことは非常に大きい問題点である。今後はウイルスを用いた遺伝子導入を検討していく予定である。その他の点については当初の研究計画にそって進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用金額として164,938円を繰越している。これは購入予定であった試薬が海外取り寄せであったため年度内での納品ができなかったからである。次年度以降は当初の研究計画にそって使用していく。
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