研究課題/領域番号 |
24501338
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
佐藤 守 千葉大学, 医学部附属病院, 寄附研究部門教員 (20401002)
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研究分担者 |
曽川 一幸 麻布大学, 生命・環境科学部, 講師 (50436440)
吉富 秀幸 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (60375631)
宮崎 勝 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70166156)
野村 文夫 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80164739)
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キーワード | プロテオミクス解析 / 抗癌剤耐性 / 膵臓癌 / 培養細胞 / 培養上清 / SILAC |
研究概要 |
膵癌は消化器癌の中で予後不良の疾患であり、特に薬剤に対する治療抵抗性が治療成績を悪化させる一因となっている。そこで本研究では、Gemcitabine(GEM)耐性膵癌細胞株を用いてプロテオーム解析を行い、①細胞成分から新規GEM耐性因子を同定・機能解析を行い臨床的関連を明らかにし、新しい治療標的分子として、特に個別化治療への応用を目的とする。②培養上清から細胞が分泌・逸脱する診断マーカー候補タンパク質・ペプチドの探索・同定を行う。その後、患者血清・血漿を用いて分泌タンパク質・ペプチドを定量評価を行い、抗癌剤の各症例への有効性が評価できる診断薬・診断法を開発を目的としている。 本年度は②の培養上清から細胞が分泌・逸脱する診断マーカー候補タンパク質・ペプチドの探索・同定を重点的に行ってきた。これまでに耐性株培養上清において2倍以上の発現変動しているタンパク質を2種類のGEM耐性株からそれぞれ35、4タンパク質同定することができた。両細胞株共に分泌しているタンパク質は1つであった。細胞増殖に関与するタンパク質であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画ではIII-a) 抗癌剤耐性因子タンパク質の機能解析、耐性因子としての絞込み 、III-b) 細胞分泌・逸脱タンパク質・ペプチドの診断マーカー候補としての絞込みを行う予定であった。 III-a) では耐性株で発現上昇していたタンパク質をsiRNAを用いた発現抑制を行った結果、感受性が上昇することがわかった。III-b)ではGEM耐性2細胞株の培養上清中でともに上昇するタンパク質を同定することができた。これについては当初SILACによる安定同位体標識が行われているのでFBS中の成分との分別ができる予定であったが、予想した結果は得られず別な方法を追加することで感受性株と耐性株の由来を区別しながら分泌物を同定することができるようになった。この点からおおむね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度探索した培養上清中のタンパク質は患者血清中にも分泌されている可能性があるので、膵癌患者血清を用いてELISAでの測定を進めていく。ただ、今回検出されたタンパク質はGEM耐性株のみで上昇しているものもあり、これは膵癌患者血清では検出されない可能性もある。この点については臨床情報をもとにGEM投与量、期間との相関を見ながら解析する必要がある。 また、現在1つのタンパク質について実際にELISAを購入し血清での測定も進めている。しかしながら、血清中の濃度が低いためか正確に定量できていない可能性がある。これについては三連四重極質量分析計でのSRM測定による絶対定量も必要と考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入予定消耗品の定価と消費税増税前の駆け込みキャンペーン等による実売価格の低下により差額が生じてしまった。 次年度以降は当初の研究計画にそって使用していく。
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