研究課題
本研究の目的は、imatinib抵抗性の慢性骨髄性白血病(CML)において抵抗性の主な原因となるBCR-ABL1遺伝子点突然変異を高感度PCR-インベーダー法を用いて解析し、その有無や変異クローンの推移、新たな変異クローンの出現などをダイレクトシーケンス法解析も同時に行って確認することである。さらにそれを定量する手法を確立する。平成24年度は、当初予想されたよりもimatinibに抵抗性を示す症例のリクルートが少なく、さらに、現在CMLの第一選択がimatinibからnilotinib,dasatinibにシフトしてきていることから、これらの第二世代チロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性を示す患者や初発CMLの遺伝子変異の有無も解析した。解析に関しては、現在までにのべ25例の患者にPCR-インベーダー法を、19例の患者にダイレクトシーケンス法を施行した。その結果、nilotinib抵抗性のCML患者にY253H変異を認めた。このためdasatinibへ変更したところ分子生物学的寛解とともにY253H変異は消失した。また第2世代TKIに抵抗性のCML1例にT315I変異を認めた。またインベーダー法では変異が検出されなかった2例においてダイレクトシーケンス法で35INSを2例に認めた。この症例に関しては治療効果と相関するかどうか今後も経過を追う予定である。
3: やや遅れている
前年度と比較して、対象とするCML患者を広げたことと、関連施設への研究内容の説明と協力依頼で紹介患者が増えつつあるため症例数は蓄積されつつある。今後も症例数を増やすことと変異が確認された症例に関しては、その推移を追い、治療効果との相関を確認していく予定である。
前年度と同様に、関連施設も含めてCML患者のリクルートを図っていく。また、BCR-ABL1点突然変異が認められた患者に関してはその、変異の有無を追っていく。特に、インベーダー法で検出されず、ダイレクトシーケンス法で検出されたBCR-ABL 35INSを有するCMLの予後は報告によって結果が異なっている。本邦での報告はまだないため、効果との相関も含め、経過を追う予定である。
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Cancer Science
巻: 105(1) ページ: 97-104
doi: 10.1111/cas.12319