研究概要 |
本研究は、複数の代謝を標的とするPET 薬剤の腫瘍への集積や腫瘍内分布を同一個体/腫瘤で比較し、これらの組み合わせによって固形癌がんの代謝の状態や性質についてどのような情報を取り出せるかを検討、生物学的理解を深めるとともに、予後予測や治療効果予測においてより有効なPET 診断の実現を目指している。 24年度は体内分布の検討を進めた。4種類のヒトがん細胞株(大腸がん由来HT29、肺がん由来H520、H441、膠芽腫由来U87MG)をマウスに移植し、PET薬剤またはPET薬剤の代替となる代謝基質のRI標識体の組み合わせとして,F-18標識FLTとC-14標識FDG、Acetate, Glutamine, F-18標識FDGとC-14標識Acetate, Glutamineを投与、γ線とβ線の差から2つのRI標識体を区別して放射能量を測定して、腫瘍への分布を比較した。また、このとき、細胞の移植時期を変えることで、腫瘍の成長の異なる2つの腫瘍での比較も試みた。 これらの標識体のうち、FLTでは他に比べ腫瘍細胞株による腫瘍集積の差が大きい傾向があった。HT29への集積が高く、また、腫瘍が小さく、増殖が盛んと考えられる時期に集積がより高い傾向があった。また、FLTとGlnやacetateの取り込みには正の相関が窺われたが,FLT と FDGには相関がなさそうだった。今後これらの傾向が有意なものであるかを確認する予定である。
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