研究課題/領域番号 |
24501351
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
五島 典 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70201499)
|
研究分担者 |
木村 宏 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30303621)
鎌倉 真紀 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80437003)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 遺伝子治療 / ウイルス / アンプリコン / 癌 |
研究概要 |
6週齢のC3B6F1マウスにマウス卵巣癌細胞(OV2944-HM-1)を腹腔内に接種し、卵巣癌腹腔内播種モデルマウスを作成した(day0)。無治療のマウスは腹水貯留、癌性腹膜炎などにより30日以内に死亡した。3日後よりHF10、あるいはmGM-CSFアンプリコンを腹腔内に3回接種した(day3, 6, 9)。偽治療群には同時期に同量のPBSを接種した。HF10投与により有意な生存の延長が認められたが、mGM-CSFアンプリコンによりさらに有意な延長が認められた。治療10日後(day13)に開腹したところ、HF群では腫瘍の播種や腹膜への腫瘍浸潤がある程度抑えられていて、mGM-CSFアンプリコン群で腫瘍の播種や腹膜への腫瘍浸潤がさらに抑え込まれたことが確認できた。最終治療の1、3日後(day10, 12)に腹膜を摘出し、T細胞の腫瘍細胞への浸潤を免疫組織学的に精査した。HF10、mGM-CSFアンプリコン治療群において、縮小した腹膜腫瘍周囲にCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞の浸潤が認められた。 また治療10日後(day13 )に採取した脾臓内の白血球分画を調べたところ、HF10、mGM-CSFアンプリコン治療群においてCD4陽性T細胞、CD8陽性T細胞の増加が認められた。 また、現在使用しているHSVのアンプリコンプラスミド(HSVの複製開始点とパッケージングシグナルを含む)に他のサイトカインの遺伝子を組み込んでいる。IFN-γ誘導因子であるIL-12を抗腫瘍効果のあるサイトカインの候補として考えているため、現在IL-12を組み込んだHSVアンプリコンプラスミドを作成している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
卵巣癌腹腔内播種モデルマウスを作成し、各治療によりマウスの生存が延長されることを認めた。組織学的にも腹膜転移腫瘍の縮小が確認され、CD4、CD8陽性T細胞の浸潤が免疫組織学的に認められた。また、フローサイトメトリーにおいて脾臓内にCD4、CD8陽性T細胞が増加していることが認められた。 初年度に計画していたIL12を組み込んだアンプリコンは作製途中ではあるが、mGM-CSFアンプリコンを用いておおむね順調に結果がでている。
|
今後の研究の推進方策 |
卵巣癌については、治療後に採取した脾細胞を卵巣癌細胞で刺激して、抗腫瘍サイトカインの分泌や細胞障害効果を検討する予定である。また、invitroにおける効果を検討するため、卵巣癌細胞におけるHF10の増殖、HF10による細胞障害効果なども検討する予定である。 IL-12を組み込んだアンプリコンプラスミドは、HF10をヘルパーウイルスとして粒子化して、動物実験に使用できる状態にする予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
実験動物(マウス)を使用し、抗腫瘍効果の検討を引き続き行う。また、卵巣癌細胞やマウス脾細胞の培養などin vitroの実験のための培養液やプラスチック培養器が必要である。 アンプリコンを作製するために、制限酵素類、PCR試薬及びキット、核酸抽出キット、遺伝子導入試薬、シークエンシングキット、発現を確認するためのELISAキットなどの消耗品が必要となる。
|