研究課題/領域番号 |
24501351
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
五島 典 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70201499)
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研究分担者 |
木村 宏 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30303621)
鎌倉 真紀 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), COE特任助教 (80437003)
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キーワード | 遺伝子治療 / ウイルス / アンプリコン / 癌 |
研究概要 |
昨年度、C3B6F1マウスにマウス卵巣癌細胞(OV2944-HM-1)を腹腔内に接種し、卵巣癌腹腔内播種モデルマウスを作成した。腫瘍接種3日後よりマウス顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(mGM-CSF)を組み込んだHSVアンプリコンあるいは腫瘍溶解単純ヘルペスウイルスHF10を腹腔内に3回接種したところ、mGM-CSFアンプリコン群で最も生存が延長した。病理学的にも腹膜転移腫瘍の抑制効果を確認し、腫瘍周囲にCD4もしくはCD8陽性T細胞が認められた。同時に脾臓を採取し脾細胞の分画を調べたところ、CD4陽性T細胞の増多が認められた。 今年度は、その卵巣癌腹腔内播種モデルマウスにおいて癌細胞に特異的な抗腫瘍免疫が誘導されていること、その抗腫瘍免疫はIFN-γ、TNF-αにより誘導されていることが観察された。またCD4、CD8陽性細胞を除去して検討したところ、この抗腫瘍免疫においてCD4陽性T細胞が主要な役割を担っていることが明らかになった。また、マウス腹腔内に播種した腫瘍にHF10が感染していることを示した。以上の内容を昨年論文として発表した。 さらなる抗腫瘍効果を得るために、GM-CSF以外のサイトカインによる治療法を模索した。抗腫瘍免疫を誘導するインターロイキン(IL)としてIL-2、IL-12が有用な候補であると考え、まずIL-2をHSVのアンプリコンプラスミド (HSVの複製開始点とパッケージングシグナルを含む)に組み込んだ。シークエンサーにより遺伝子配列を確認し、プラスミドとHF10のゲノムを遺伝子導入し、その細胞上清からIL-2が分泌されていることをELISAで確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス卵巣癌細胞腹膜播種モデルにおいては、抗腫瘍効果とその免疫動態などにつき観察を終えた。また、IL-2アンプリコンプラスミドを作成し、アンプリコンプラスミドとHF10ゲノムを遺伝子導入した細胞からIL-2が分泌されていることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はアンプリコンプラスミドを遺伝子導入した細胞にHF10を感染させることにより、HSV-1のエンベロープを有したアンプリコンベクターを作成する予定である。アンプリコンベクターを癌細胞に感染させることによりIL-2が分泌されることを確認して、動物モデルによる治療効果、免疫動態、抗腫瘍免疫を検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
GM-CSFアンプリコンは予定どおり実験を行った。同時に行っているIL-2アンプリコンは作製中であり、完成間近である。完成次第動物実験に入る予定である。 そのため、IL-2アンプリコン完成後に予定していたサイトカイン測定キットとマウスの使用が延期している。 IL-2アンプリコンが完成次第、サイトカイン測定キットでIL-2濃度を測定し、マウスを用いた治療実験を行う。
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