研究課題
悪性胸膜中皮腫は胸膜の中皮細胞に由来する悪性腫瘍である。過去に職場や日常生活においてアスベストに暴露し、現在悪性胸膜中皮腫に罹患している患者は増加の一方であり、診断時にすでに広範囲に進展し根治手術が不可能であることが多く、化学療法のみでの治療の場合ペメトレキセドとシスプラチンの併用である程度の効果をあげているものの有効とは言えず、予後はきわめて不良である。そこで申請者がこれまで培ってきたプロテオミクスの技術を駆使して治療の標的となるタンパクを同定し、標的タンパクに照準を合わせた治療法の開発を目的とする。昨年の段階では、プロテオーム解析の結果HSP70、GRP78、PDX 2、protein disulfide isomerase A3、 annexin A3、14kDa phosphohistidine phosphataseの発現が正常胸膜中皮細胞と比較して増強していることが明らかとなっていたが、今回特異抗体を用いたウェスタンブロットの結果、同定された蛋白質の中でHSP70とGRP78の発現が悪性胸膜中皮腫細胞において増強していることを確立することができた。現在HSP70とGRP78の特異的なsiRNAを用いてのノックダウンを行い、ノックダウンによって悪性中皮腫細胞の増殖、浸潤、遊走にどのような影響があるのかを調べている最中である。
3: やや遅れている
悪性胸膜中皮腫細胞のプロテオーム解析の結果同定された蛋白質の特異抗体を用いての確認工程は既に終了しており、確認がとれたHSP70とGRP78のノックダウンによる悪性胸膜中皮腫細胞の増殖、浸潤、遊走への影響を調べる段階となっているが、デザインしたsiRNAの機能がはっきりしておらずノックダウンが成功していない。そのため、まだHSP70とGRP78の中皮腫細胞の悪性度への影響が確認できていない。
候補蛋白であるHSP70とGRP78のノックダウンを完了して悪性胸膜中皮腫細胞への影響を確認することが第一である。そのため、HSP70とGRP78のsiRNAのデザインを再度行って実際に機能的なsiRNAを使用できるようにする。また、昨年悪性胸膜中皮腫細胞での強発現が確認できたDDX39にも焦点を絞って、ノックダウンによって増殖、浸潤、遊走への影響を調べる。
プロテオーム解析によって悪性胸膜中皮腫細胞に特異的に強発現している蛋白質として同定されたHSP70とGRP78のノックダウンが成功していないことから次年度使用額が生じた理由である。HSP70とGRP78のsiRNAを再デザインしてノックダウンを成功させ、同定されたHSP70とGRP78の悪性胸膜中皮腫の増殖、浸潤、遊走における役割を明らかにするための消耗品で使用する予定である。(1)siRNAとノックダウンのための試薬一式(2)MTSアッセイ用試薬(3)マトリジェルとトランスウェル
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)
Proteomics
巻: 14 (9) ページ: 1031-1041
10.1002/pmic.201300414.
Electrophoresis
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1002/elps.201300497.
Hepatitis Mothly
巻: 14(1) ページ: e13103
10.5812/hepatmon.13103.
Anticancer Res
巻: 34(1) ページ: 141-146
巻: 33(11) ページ: 4821-4826.
Hepat Mon.
巻: 13(7) ページ: e8351
10.5812/hepatmon.8351.
巻: 33(9) ページ: 3661-3665.
Oncol Rep.
巻: 30(5) ページ: 2365-2370
10.3892/or.2013.2699
Exp Cell Res.
巻: 319(18) ページ: 2835-2844
10.1016/j.yexcr.2013.08.006.
巻: 33(8) ページ: 3133-3136
Proteome Sci.
巻: 11(1) ページ: 33
10.1186/1477-5956-11-33.
巻: 33(6) ページ: 2557-2560