研究分担者 |
石原 聡一郎 帝京大学, 医学部, 講師 (00376443)
江口 研二 帝京大学, 医学部, 教授 (30349336)
松田 圭二 帝京大学, 医学部, 准教授 (90302728)
野澤 慶次郎 帝京大学, 医学部, 講師 (90317686)
関 順彦 帝京大学, 医学部, 准教授 (90349374)
橋口 陽二郎 帝京大学, 医学部, 教授 (60251253)
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研究概要 |
本年度は昨年度に確立した免疫学的手法を用いて臨床検体の解析(BV投与前後の血漿サイトカイン、末梢血Treg、MDSC、リン酸化STAT3、ELISPOT)を開始した。また千葉県がんセンターより検体の提供を受けたが、検体の輸送に要する時間より各種細胞解析は困難のため、血漿サイトカイン測定に限定した。報告書作成時点で帝京大学症例3例、千葉県がんセンター症例19例の合計22例が登録され、患者背景は、年齢22-81歳(中央値65歳)、M/F=13/9、Stage IVA/IVB=13/9,PS 0/1=19/3,観察期間:0.7-6.2M(中央値3.5M)であり、治療効果判定可能症例15例中、CR/PR/SD/PD=0/6/6/3であった。観察期間中に2名が死亡した。治療効果評価可能例数が少なく、統計解析で結論を導き出すのは困難であるが、現時点で奏効率と相関を認めた血漿サイトカインはVEGFのみであり(PR群 7.64±5.39, SD群 21.02±6.2pg/mL, p=0.013)、IL-8はPR群 10.39±4.56, SD群 92.3±64.7 pg/mL (p=0.085)と1コース終了後に低値のケースで奏効する傾向を示した。一方、IFN-γにおいてはPR群で高値を取る傾向を示した(p=0.013)。免疫抑制性サイトカインIL-6, IL-10, TGF-β1に関しては奏効率別に一定の傾向を示さなかった。また、細胞解析が可能であった帝京大の3症例はすべてPD症例であり、抗原特異的T細胞(ELISPOT)、末梢血Treg, MDSC、単核球核内リン酸化STAT3レベルと治療効果の間に相関は認めなかった。本研究では必要な症例の集積が進まず仮説検証に至らなかったが、一部のサイトカイン値と治療効果の相関を示唆する結果が得られており、仮説の妥当性検討の余地を残すと考察出来る。
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