研究課題/領域番号 |
24501359
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
岡本 勇 近畿大学, 医学部, 准教授 (10411597)
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研究分担者 |
中川 和彦 近畿大学, 医学部, 教授 (40298964)
西尾 和人 近畿大学, 医学部, 教授 (10208134)
坂井 和子 近畿大学, 医学部, 助教 (20580559)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 分子標的治療 |
研究概要 |
肺癌は我が国においても悪性新生物による死亡の第1位であり治療成績の改善が望まれている。近年の癌分子生物学研究の進歩を背景として、EGFR遺伝子変異やEML4-ALK融合遺伝子などの特定の分子異常をもつ進行非小細胞肺癌に対してはEGFRチロシンキナーゼ阻害剤やALK阻害剤が極めて効果が高いことが示され、これらの患者群の予後を大きく改善している。EML4-ALK融合遺伝子は、EML4遺伝子とALK遺伝子の融合によって生じるがん遺伝子であり非小細胞肺癌の約5%に存在する。現在実地臨床で行われているEML4-ALK融合遺伝子の検出は、ホルマリン固定パラフィン包埋検体に対する免疫染色法とFISH法が用いられているが、その感度、判定法には限界があり、より正確で感度の高い診断法が求められている。われわれはPCR法をベースとしたMassARRAYシステムを応用しEML4-ALK融合遺伝子の高感度検出法を確立し報告した(Journal of Thoracic Oncology 2012; 7: 913-918)。さらに当科にて標準的な抗癌剤薬物療法が実施された200例の進行非小細胞肺癌のホルマリン固定パラフィン包埋検体を用いて検出を試み、200例全例が測定可能であり、うち18例にEML4-ALK融合遺伝子を検出することに成功した。またこれらの患者群における従来の化学療法の効果が限られたものであることを示し報告した(Annals of Oncology 2012;23(11):2931-2936)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
気管支鏡検査で得られた比較的少量の非小細胞肺癌組織ホルマリン固定パラフィン包埋検体から抽出された核酸であったてもMassARRAYによる解析が予想通りfeasibleであり、現在のところ予定された行程が順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
進行非小細胞肺癌においては一般に生体組織の採取は困難であり、微量なホルマリン固定パラフィン包埋検体を用いた遺伝子診断が臨床上望まれている。我々のMassARRAYシステムを用いた成果は今後の診断技術の改善に寄与するものと考えられる。近年EML4-ALK融合遺伝子解析に加え、ROS1融合遺伝子、RET融合遺伝子が新たな治療標的として注目されており、今後益々多岐にわたる遺伝子診断が必要とされる。今後、MassARRAYシステムを持ちてこれら新たな融合遺伝子の検出にも応用していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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