研究課題
平成24年度から平成26年度にかけて静岡県環境衛生科学研究所の約10万の化合物ライブラリーから選択された6600化合物について、悪性神経膠芽腫の標準的治療薬として使用されているテモゾロミド治療再発神経膠芽腫症例から樹立された脳腫瘍幹細胞GB-SCC010T株を用いたin vitro抗細胞活性試験を初めに実施した。脳腫瘍幹細胞GB-SCC010T株における抗細胞活性の強さを比較するために、50%細胞増殖抑制濃度(IC50)を指標として評価をすすめた結果、化学構造が異なる5化合物(化合物A、化合物B、化合物C、化合物D、化合物E)が脳腫瘍幹細胞に高い感受性を示すことが明らかとなった。その抗細胞活性の強さは、対照化合物WP1066(現在、phase 1試験中)よりも約30倍以上強かった。その内、2化合物(化合物A、化合物B)について優先的にin vivo抗腫瘍試験を実施した結果、2つの化合物は有効判定基準値に近い抗腫瘍活性を示した。特に、脳腫瘍幹細胞は抗がん剤に耐性を示す特性を持っているが、化合物Bはテモゾロミド耐性ヒト神経膠芽腫移植モデル(U87TMZR)に対して明らかな腫瘍の増殖抑制活性を示した。化合物A及び化合物Bあるいはその周辺化合物や他の化合物については、それぞれの化合物の作用機序解析、薬物動態及び詳細な抗腫瘍活性等の評価を継続することは極めて重要である。最終的には、脳腫瘍幹細胞に対して優れた抗腫瘍性を有する新規化合物の非臨床試験(安全性試験)のための最終候補化合物を選択するとともに、知的財産権の確保(新規特許の出願)を行う予定である。さらに、試験の費用をバックアップ可能な企業とのアライアンスを構築したい。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (1件)
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