研究課題
基盤研究(C)
前立腺がん発生に関わる栄養学的・遺伝学的特性を明らかにし、食事・ライフスタイルの視点からその予防策を具体化することである。今後3年間で、以下の項目を明らかにする予定である。1. 食物摂取頻度調査票を用いたOmega-3不飽和脂肪酸摂取量、植物エストロゲン摂取量の推定 2. 脂肪酸代謝酵素、ホルモンリセプター等関連遺伝子の遺伝子多型解析 3. 得られたデータの総合的な解析を行い、個人レベルで利用できる前立腺がん発生・悪性度・進展・予後を規定する発生リスクモデルの作成。以上の研究結果に基づき、食習慣(栄養素摂取)の視点から、前立腺がんの発生予防を目指したテーラメイド型の食事・ライフスタイルメニューを作成する。研究目的を達成するために以下の研究を実施する。H24年度には以下の研究を実施した。1. 調査対象者の個人データベースを作成した。1) ライフスタイル情報の整理: 前立腺がん1,050症例、健常対照者1,290例の食物摂取頻度調査票、仕事時間、喫煙、飲酒、運動習慣に関するデータのクリーニング及び定量化を行った。2) 食物摂取頻度調査票をもとに、①野菜、果物、魚の摂取量 ②n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸摂取量、③イソフラボン摂取量 ④ビタミンB群の摂取量の計算を行った。3) 前立腺がんの臨床病理学的なデータベースを作成中である。 2. 食事・栄養素摂取量と関連する遺伝子多型の解析を行った。具体的には、n-3系脂肪酸とn-6系脂肪酸をプロスタグランジンへ変換するシクロオキシゲナーゼ (COX-1, COX-2) 、5-lipoxygenase の代表的な遺伝子多型と前立腺がん発生リスクとの関連について解析を行なった。 3. 食事中に含まれる発がん性化学物質の代謝酵素遺伝子多型に関する膀胱がんの分析結果を疫学的に解析し、発がんリスクに関する論文を完成した。
2: おおむね順調に進展している
ライフスタイル、食事・栄養素摂取量と前立腺がん発生リスクに関する疫学解析を実施中である。データクリーニングに時間を要しているが、次年度には解析を終了できると考えている。一方、食事中の栄養素・化学物質に関連した候補遺伝子の解析については、順調に進んでいる。
前立腺がん全体の解析だけではなく、より詳細な臨床病理学的なデータベースを作成することによって、より感度に優れたリスク評価が可能になると考えている。連携研究者である病理医と共同で、前立腺がん症例に関する臨床病理学的なデータベースを作成中である。
平成25年度は、平成24年度の研究を継続し、研究成果の発表を行う。具体的には、1. 食物摂取頻度調査票をもとに得られた栄養素・化学物質摂取量と感受性遺伝子との関連解析 2.前立腺がんの臨床病理学的データベースをもとに、前立腺がんの発生・悪性度・進展・予後を規定するバイオマーカーを探索する。
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