研究課題/領域番号 |
24501367
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
片野田 耕太 独立行政法人国立がん研究センター, がん対策情報センター, 室長 (00356263)
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研究分担者 |
林 邦彦 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (80282408)
水沼 英樹 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10125875)
鈴木 礼子 東京医療保健大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20616239)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 乳がん / 体重 / 肥満 / エストロゲン / プロゲステロン |
研究概要 |
(1) 出生時体重の標準化 女性の生活習慣と健康に関する疫学調査研究(JNHS)のベースライン調査対象者約1万9千人について、胎児発育曲線を用いて、妊娠週数に応じた出生時体重のパーセンタイルを算出した。平均値52.4、中央値49.0であり、対象者の出生時体重が日本人一般集団の分布に近いことが確認された。 (2) ベースラインデータおよび追跡データの妥当性調査 自記式調査票によって把握した体重および疾病の診断有無について、妥当性の検証を郵送調査で行った。JNHSの追跡調査対象者のうち1164名を抽出して調査票を送付し、946名(81.3%)から回答を得た。代謝性疾患については陽性的中度が100%近く、陰性的中度が70%~80%であった。代謝性疾患および乳がんについては、主治医への照会の対象者を決定し、調査票の発送準備をしている。出生時体重については、母子手帳などの客観的な記録との一致度が有意に高く(Kappa係数0.73)、自己申告の妥当性が確認された。 (3)生物学的機序の検討 女性のライフステージを通じた体重と乳がんとの関連について生物学的機序のレビューを行った。乳がんリスクと関連が指摘されている出生時の高体重については、ステロイドホルモンの増加と乳腺幹細胞への刺激が関与していると考えられた。閉経前の低体重は脂肪細胞の不足を介して乳腺の発達異常につながると考えられ、閉経後の高体重は脂肪細胞におけるエストロゲン生成と肥満によるホルモン結合グロブリンの減少を介して乳がん発症につながると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
体重と乳がんとの関連を調べるための予備的なデータ解析および妥当性調査を実施し、研究計画策定時の想定とおおむね一致した結果が得られていること。
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今後の研究の推進方策 |
(1)ベースラインデータおよび追跡データの妥当性調査 乳がんおよび糖尿病などの代謝性疾患について、診断ありと回答した対象者について主治医への確認調査を行う。 (2)乳がん罹患と体重との関連の解析 体重関連の変数と乳がん罹患の関連を、Cox比例ハザードモデルで解析する。体重関連変数は、複数の時点で計測しているため、個々の変数を独立の変数としたモデルと、時間依存性変数としたモデルの両方を検討する。出生時、18歳時、および成人期の3時点の体重をそれぞれカテゴリに分けて、3時点のカテゴリの組み合わせについて、閉経前または閉経後乳がんリスクの増減を検討する。追加的な解析として、人口動態統計死亡の個票データ(統計法の規定に基づく調査票情報の提供の申出を行う)を用いて、乳がん死亡と体重関連因子の関連を解析する。 (3)生物学的機序の検討 ライフステージごとの体重と乳がん罹患との関連について、本研究の結果と先行研究で提案されている生物学的機序との整合性を検討し、日本人における体重と乳がんとの関連について総合的な考察を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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