研究課題/領域番号 |
24501367
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
片野田 耕太 独立行政法人国立がん研究センター, がん対策情報センター, 室長 (00356263)
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研究分担者 |
林 邦彦 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (80282408)
水沼 英樹 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10125875)
鈴木 礼子 東京医療保健大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20616239)
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キーワード | 乳がん / 体重 / 肥満 / エストロゲン / プロゲステロン |
研究概要 |
(1) ベースラインデータおよび追跡データの妥当性調査 自記式調査票によって把握した疾病の診断有無について、昨年度の調査で陽性的中率(60%~70%)が陰性的中率(98%以上)に比べて低いという特徴が明らかになったため、医療機関への妥当性調査を追加で行った。主治医への調査票を作成し、医療機関への照会に同意が得られた60名の対象者について、郵送調査を送付し、47名について回答を得た。現在未回答分について催促を実施している。 (2)複数時点の体重についての解析手法の検討 出生時、18歳時、および現在の3時点の体重と疾患との関連を、相関構造の影響を考慮して調べる手法について検討した。通常の調整変数として扱った場合、疾患と真の関連がなくても見かけ上の関連が観察される可能性が示唆された。通常連続変数に用いられる線形モデルに基づくパス解析を、疾患の有無という2値変数用にロジスティックモデルに拡張すれば、体重と疾患の直接の効果を抽出することが可能であることがわかった。 (3)生殖関連要因と生活習慣との関連の検討 女性のライフステージを通じた生活習慣の変化を明らかにするために、生殖関連イベントと生活習慣の変化との関連を調べた。妊娠は禁煙の契機、閉経は喫煙の開始や増加の契機となることがわかった。喫煙は体重変化とも関連する要因であるため、体重と疾患との要因の分析においては、生殖要因およびそれに関連する生活習慣の変化を考慮する必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
体重と乳がんとの関連を調べるための妥当性を高めるために、研究計画策定時に想定しなかった追加調査および手法の検討の必要性が発生したため、関連性の検討が若干遅れている。しかしながら、これらの検討はすでに目途がついており、来年度に計画通りの進捗が可能となる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
(1)乳がん罹患と体重との関連の解析 出生時、18歳時、および成人期の3時点の体重と乳がん罹患の関連を、それぞれの体重の寄与を明らかにするために、時間依存変数とした解析およびパス解析を用いて検討する。出生時、18歳時、および成人期の3時点の体重をそれぞれカテゴリに分けて、3時点のカテゴリの組み合わせについて、閉経前または閉経後乳がんリスクの増減を検討する。追加的な解析として、人口動態統計死亡の個票データ(統計法の規定に基づく調査票情報の提供の申出を行う)を用いて、乳がん死亡と体重関連因子の関連を解析するほか、糖尿病など代謝性疾患と体重変化との関連についても調べる。 (2)生物学的機序の検討 ライフステージごとの体重と乳がん罹患との関連について、本研究の結果と先行研究で提案されている生物学的機序との整合性を検討し、日本人における体重と乳がんとの関連について総合的な考察を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
年度内に研究計画策定時に想定しなかった手法の検討の必要性が発生し、一部の作業を新年度に遅らせる必要が生じたため。 必要となった解析手法の実施のための消耗品購入に充当する。
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