研究課題/領域番号 |
24501367
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
片野田 耕太 独立行政法人国立がん研究センター, がん対策情報センター, 室長 (00356263)
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研究分担者 |
林 邦彦 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (80282408)
水沼 英樹 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10125875)
鈴木 礼子 東京医療保健大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20616239)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 乳がん / 体重 / 肥満 / エストロゲン / プロゲステロン |
研究実績の概要 |
(1) ライフステージ別体重と疾患との関連 女性看護職コホートの断面データを用いて出生時、18歳時、および現在の3時点の体重と疾患既往歴との関連を、パス解析を用いて検討した。乳がんでは現在体重で正の関連が見られたのみだったが、糖尿病では出生時体重で負、18歳時体重で関連なし、現在体重で正の関連が見られた。父母の糖尿病既往歴で層別すると、既往歴がない群では、出生時体重に加えて18歳時体重でも負の関連が見られた。出生時と18歳時の体重の組み合わせでは、2時点ともに低体重の群が最も糖尿病と関連が強く、18歳時と現在の体重の組み合わせでは、18歳時に低体重で現在高体重の群が最も糖尿病との関連が強かった。これらの結果から、日本人女性の糖尿病では若年期のやせが危険因子となっている可能性が示唆された。
(2)ライフステージ別の併存疾患の検討 女性看護職コホートの断面データを用いてライフステージ別の併存疾患のパタンについて検討した。若年期に好発する疾患(子宮内膜症、貧血、片頭痛、子宮筋腫)は、互いに併存する傾向があった。これらの疾患はそれぞれ、中年期の好発疾患と異なる併存パタンを示した(子宮内膜症と卵巣がん、子宮体がん、および脳梗塞の併存、貧血と胃がんとの併存、片頭痛と一過性脳虚血、骨粗しょう症、脳梗塞、狭心症との併存、子宮筋腫と大腸がんとの併存)。これらの結果から、若年期に好発する疾患の既往歴がある女性は、中高年の疾患リスクが高いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自己申告で把握された体重の妥当性を検証するために追加調査が必要になったこと、多時点の体重の影響を調べるために手法の検討が必要になったこと、乳がんと体重との関連で明確な結果がでなかったため対象疾患を糖尿病や循環器系の疾患に拡大したことから。
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今後の研究の推進方策 |
(今後の推進方策) 本研究により、ライフステージごとの体重が代謝性の疾患に異なる影響を及ぼすことが示唆された。本研究で用いた分析手法を、高血圧、高脂血症などリスク因子が重なる他の疾患にも適用し、ライフステージごとの体重と疾患との関連について多面的な分析を進める。また、本研究では断面的な分析のみを行ったが、追跡データを用いて同様に分析し、より証拠レベルの高い結果につなげる。
(次年度使用額が生じた理由と使用計画) 平成24~26年度にかけてライフステージごとの体重と乳がんとの関連についての分析を行い、その成果を平成26年度に学術誌や国際学会等で発表する予定であったが、乳がんについては著明な結果が得られず、エンドポイントに代謝性疾患を加えて解析および論文執筆を継続している。そのため成果発表に関わる部分で未使用額が生じた。このため、代謝性疾患をエンドポイントに加えた解析結果を学術誌および国際学会で次年度内に発表することとし、未使用額はその経費に充てることとした。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成24~26年度にかけてライフステージごとの体重と乳がんとの関連についての分析を行い、その成果を平成26年度に学術誌や国際学会等で発表する予定であったが、乳がんについては著明な結果が得られず、エンドポイントに代謝性疾患を加えて解析および論文執筆を継続している。そのため成果発表に関わる部分で未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
このため、代謝性疾患をエンドポイントに加えた解析結果を学術誌および国際学会で次年度内に発表することとし、未使用額はその経費に充てることとした
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