研究課題/領域番号 |
24510003
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
工藤 勲 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (00195455)
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研究分担者 |
磯田 豊 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (10193393)
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キーワード | 貧栄養化現象 / ホタテガイ養殖 / 陸奥湾 / 栄養塩バランス / 逆エスチュアリー循環 |
研究概要 |
本研究では、持続可能な生物生産活動の維持を脅かしかねない海域の貧栄養化現象のメカニズム解明を目的として陸奥湾において調査を行った。今年度は、5,7,8,10月の計4回にわたり18の観測点でCTD観測と10mかんかくの鉛直採水を行い、栄養塩、クロロフィルaを測定した。東湾、西湾の代表点において基礎生産、窒素態栄養塩の同化速度を測定した。また、有光層下部における硝化速度の測定を行った。湾口部の断面観測の結果より2013年は、2012年より夏季の逆エスチュアリー循環の傾向が強くなく、高濃度の栄養塩を含む湾内底層水が湾外へ流出する量が少なかった。これは、2012年の夏は全国的に気温が高く、湾外へ到達した対馬暖流続流水の水温が25℃以上であったのに対して、2013年は最高で23℃程度であったことに起因すると思われた。また、これまで得られた成果より湾内の窒素収支を計算した。その結果、主な窒素流入源は、河川および終末処理場であり、0.7x108モルNが供給されている。外海水からの流入は、冬期に多くなるが、ほぼ同量が夏季の逆エスチュアリー循環によって流出するため、年間収支は、ほぼゼロである。ホタテガイとして水揚げされる量は、0.1x108モルNであり、海底へ堆積物として到達する量は、1.7x108モルNとなり、ホタテガイの糞粒を経由して海底へ輸送される量が圧倒的に多い結果となった。全体収支より、この海底に到達した有機物の半分程度は堆積物中での分解作用により栄養塩に無機化され、間隙水を通して海水へと回帰する。分解されなかった部分は堆積物として埋没する。つまり、陸奥湾で顕在化した貧栄養化現象は、ホタテガイ養殖の導入により海底へ埋没する有機物量が増加することにより湾内の栄養塩バランスが崩れたことによって引き起こされたものと推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現場観測を2年間にわたり計画通り遂行し、その成果を元に3年目に行う予定であった物質循環像を把握するためのボックスモデル構築を予備的ではあるが、2年目に行う事が出来たため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、ホタテガイ養殖を導入された現在における物質循環モデルに加えて、ホタテガイ養殖を行っていなかった1970年代以前における物質循環モデルを構築し、陸奥湾における物質循環に与えるホタテガイ養殖のインパクトを評価する。本来の計画に含まれていなかったホタテガイ養殖場から海底へ輸送される有機物量をセジメントトラップを1年間設置することにより見積り、より正確な物質循環像の把握を行う。
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