研究課題/領域番号 |
24510005
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
舘山 一孝 北見工業大学, 工学部, 准教授 (30374789)
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研究分担者 |
中山 雅茂 北翔大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60371150)
中村 和樹 日本大学, 工学部, 准教授 (60435500)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 海氷 / 衛星リモートセンシング / 氷厚 / サロマ湖 / オホーツク海 / マイクロ波放射計 / 合成開口レーダ |
研究概要 |
平成24年度は計画通りサロマ湖氷上とオホーツク海で現場観測を実施した.サロマ湖では平成25年2月14日から22日にかけて広域観測と定点観測を行い,オホーツク海では平成25年2月23日から3月1日にかけて巡視船そうやによる海氷観測を実施した.昨冬は寒さに恵まれ,サロマ湖は全面結氷し,過去5年間で最も厚い氷であったことから,広域氷上観測はサロマ湖のほぼ全てをカバーすることができた.オホーツク海も流氷勢力が卓越し,海氷域の中心部では6mを超える厚い海氷が観測された. 1.海氷のラフネスと氷厚の推定 サロマ湖氷上において1kmごとにスポット観測を行い,全117地点の積雪深,氷厚,ラフネス,表層塩分等,マイクロ波センサによる氷厚観測に必要な現場データを取得した.橇牽引式の電磁誘導式氷厚計(EM)によって連続観測を行い,より詳細な氷厚分布を測定した.同様のEM氷厚計を巡視船そうやに設置し,オホーツク海北海道沿岸の氷厚分布を測定した.これらの現場データと合成開口レーダ(RADARSAT-2),マイクロ波放射計(AMSR2)の衛星データと比較解析を行い,海氷厚推定アルゴリズムの開発に取り組んだ, 2.混在する氷種に対応した海氷密接度推定と空間分解能の向上 サロマ湖氷上に人工プールを造成し,海氷の成長に伴う輝度温度の変化を可搬型マイクロ波放射計で測定した.マイクロ波放射計の視野内に既知の厚さの薄氷と厚氷を置き,その面積比を変えながら放射計観測を行った.これにより,開発が完了している海氷分類アルゴリズムのパラメータ調整に必要な情報が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
サロマ湖やオホーツク海の結氷状態がここ数年で最も良好で,当初計画よりも幅広い厚さの海氷の現場観測データを取得することができた.このことにより,精度検証可能な海氷厚の範囲が拡大され,アルゴリズムの精度向上が期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は平成24年度に得られた豊富な現場観測データの解析を進める.平成24年度に引き続き,サロマ湖氷上観測とオホーツク海観測を継続し現場データの充実を図る.また,北見工業大学の低温実験室および北翔大学の屋外でチェストフリーザーを用いて人工海氷生成実験を行い,海氷のマイクロ波放射特性について再現実験を行う.実験で得られた経験手法と理論モデルの比較検証を進め,衛星センサである合成開口レーダ(RADARSAT-2)とマイクロ波放射計(AMSR2)の海氷厚推定アルゴリズムの改良を行う.改良アルゴリズムを衛星による実海域観測に応用する.巡視船「そうや」によるオホーツク海の氷厚・マイクロ波放射観測の結果と衛星観測結果を比較し,各種アルゴリズムを評価・再改良を加える. 本研究で得られた海氷密接度・氷厚データから,オホーツク海海氷の長期モニタリング(1978年~)へ繋げる.これまでは合成開口レーダやマイクロ波放射の理論モデル・経験的手法でそれぞれ 0-10cm,10-30cm,30cm以上の海氷厚といった大まかな氷種毎のモニタリングを行っていたが,本研究で各センサのアルゴリズムの統合を行い,発展させることでシームレスな海氷体積の推定へ進化させる.平成26年度に最終アルゴリズムを完成させ,オホーツク海海氷の面積・体積の長期データセットの構築を完了する.本研究で得られた知見が北極海や南極海など他の氷海域へ適用可能か検討する.課題を見極め,次の研究段階へステップアップするための基礎を築く.
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次年度の研究費の使用計画 |
北翔大学は平成25年度にチェストフリーザー(25万円)を購入するため,平成24年度に11万円を繰り越した.平成25年度はこのチェストフリーザーを導入することで,冬期の現場海域以外でも結氷実験が可能になる. その他,観測や実験の消耗品費32万円,成果発表・研究打ち合わせ・観測の旅費68万円,データ整理の謝金8万円,流氷カメラの通信費・スノーモービルの賃料・輸送費としてその他経費27万円を計上する.
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