研究課題
汚染飼料を摂取した牛の体内組織中での放射性セシウムの動的挙動に関する研究を行い,次に示す研究実績を得たA. 平成24年度の作製した「牛の筋肉中の放射線量を体表部分から計測するための簡易システム」の改良を行い,短時間(5分間程度)の測定で,牛の筋肉中の放射性セシウム量を推計する手法を確立した.福島県では,この手法を食肉(牛)の出荷前検査(放射性セシウム)に利用しているB. ①放射性セシウムを含む飼料を3か月間給与した後,クリーンな飼料を与えた牛の血液および尿中の放射性セシウム濃度の時間的変化(動的変化)を継続的に測定し,②動的コンパートメントモデルを道いて解析を行った,その結果,牛のたいないでの放射性セシウム濃度の減衰過程は2つの指数関数の和で表すことができ,放射性セシウムの生物学的半減期(15日程度)を推定することができた.また,コンパートメントモデルの解析から,血液・筋肉放射性セシウムの移行係数を推計することを試み,ヒツジの場合の移行係数(文献値)と同等の値が得られた.
2: おおむね順調に進展している
本研究の目的は,福島第一原子力発電所に近い地域で飼育され,放射性物質によって汚染された飼料を摂取した牛の体内での放射性物質の分布を測定し,放射性物質の体内での代謝過程を明らかにすることにより,哺乳類の体内での放射性物質の動態モデル(体内被曝モデル)の精度を向上させることにある.平成25年度は,放射性セシウムを含む飼料を給与後,クリーンな飼料を与えた牛の血液および尿中の放射性セシウム濃度の時間的変化(動的変化)を継続的に測定し,動的コンパートメントモデルを用いた解析によって,牛の体内での放射性セシウムの生物学的半減期を明らかにすることができた.これらの成果に関して,国際会議および学会等で発表をおこなっており,本研究はおおむね順調に進展していると考えられる
25年度までの研究で明らかになった牛の体内での放射性セシウムの代謝過程に関する知見に基づいて,旧警戒区域に生息する雑食哺乳類であるイノシシについても,牛の場合と同様手法を用いて研究を行い,哺乳動物の食性の違いが体内での放射性セシウムの代謝過程に与える影響に関して検討を行う.
動態モデルのシミュレーション用のコンピュータおよび解析ソフトが予定価格よりも低額で購入できたため平成26年度に行う調査研究(牛およびイノシシの体内での放射性セシウム濃度の分布および動的変化)に必要な消耗機材(検体測定容器など)の物品費として使用する
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
Inorganics,
巻: 1 ページ: 32-45
Chemistry Letters
巻: 42 ページ: 1554-1555