研究課題/領域番号 |
24510009
|
研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
神田 穣太 東京海洋大学, 海洋科学技術研究科, 教授 (60202032)
|
キーワード | 東京湾 / 富栄養化 / 長期モニタリング / 生物生産 |
研究概要 |
2012年に実施した13-C、15-N同位体トレーサーを用いた一次生産、窒素同化測定の結果について取りまとめた。表層の一次生産は33~300μgC/L/hの範囲であり、従前の値と大きく異なることはなかった。6月、7月は塩分成層が発達し、植物プランクトン現存量、一次生産速度、窒素栄養塩取り込み速度共に高かった。環境要因との相関関係の検討から、植物プランクトン現存量あたりの炭酸固定と窒素取り込み速度は、水温およびPARと正の相関があり、6月、7月の高い炭酸固定速度・窒素取り込み速度は、高い現存量と共に高い水温とPARが影響していたものと考察された。 アルカリフォスファターゼ活性について、2013年のほぼ1年間にわたって定期観測を試行実施した。サイズ分画の結果からアルカリフォスファターゼ活性はほとんどが0.7μm以上の分画から検出され、植物プランクトンの寄与がバクテリアに対して圧倒的に大きかったと推定された。2013年7月の観測では極めて高い酵素活性が検出された、高い植物プランクトン現存量、低いリン酸塩濃度等から、酵素活性の低いKm値などからプランクトン群集全体のリン制限状態が示唆された。また、このときの酵素活性は1970年代および80年代に東京湾で得られた酵素活性に比べても非常に高く、東京湾が全体としてリン制限状態に移行していることを反映しているものと考えられた。アルカリフォスファターゼ活性のモニタリングの有用性が示された。本研究は、東京湾央を調査対象とし、15Nと13Cトレーサを用いた船上培養実験により、 硝酸塩およびアンモニウム塩の取り込み速度、ならびに炭酸固定速度を定量し、その季節変動について解析したものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アルカリフォスファターゼ活性、一次生産、窒素同化について、評価を含めて試行実施が完了した。特にアルカリフォスファターゼについては、有用性が明瞭に示され、計画以上の進展があったと言える。一方、硝化活性、脱窒活性については試行と評価がやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
硝化活性および脱窒活性について、引き続き検討すると共に、これまでの試行結果について総合的に評価して研究を取りまとめる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
硝化活性、脱窒活性について、予定していた船上定期観測での試行が一部実施できなかったため、関連する消耗品費等の支出が不要となった。 2014年度の船上定期観測における試行で使用する。
|