平成26年度は、取得した加速度データに加えて、3GモジュールからのGPSデータの取得、加速度データとGPSデータを3G経由でサーバへ転送する方式の研究を進めた。方式検討の結果、13分間の加速度データを取得し、3GモジュールのGPSを用いて測位した位置情報とともにサーバに送信す方式を採用することとした。これは、3Gモジュールのスリープが最小でも10分間以上とする必要があること、クマの活動観測には10分程度以上の加速度データが必要であること、GPSの取得には1分間程度の時間が必要であること、13分間の加速度データとGPSデータを3Gで転送した場合、1分程度で送信可能であること、を考慮した結果である。以上のシステムを開発し、機能が正しく動作することを確認した。 また、GPS受信機の省電力動作の研究開発を進めた。省電力のために、動作電圧の低い受信機モジュールを使用して、連続受信動作時および間欠動作時の消費電力量を確認した。連続受信動作でのGPS測位精度の計測をオープンスカイ環境に設置した定点GPSアンテナで実施し、測位結果の50%平均誤差半径(50%CEP; Circular Error Probability)が3~5m程度であることを確認した。間欠動作時は、ON-OFFの間欠動作のパターンを変えた場合において、測位精度の劣化と省電力の効果について調査した。衛星の軌道情報に欠損を生じることが精度低下の要因となるため、航法メッセージ中の軌道情報の取得を効率的に取得する動作パターンについて検討している。野生動物が活動している場は、オープンスカイ環境であることは稀であるため、電波の遮蔽による影響についても考慮して、GPSシミュレータ環境を構築し、間欠動作パターンでのGPS測位精度を確認した。間欠動作による省電力効果を確認した。実用的な位置計測精度を確保しつつ、より効率的な省電力効果を確保する間欠動作パターンについて検討する。
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