研究課題/領域番号 |
24510014
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 永 名古屋大学, 環境学研究科, COE特任准教授 (50392965)
|
研究分担者 |
小林 秀樹 独立行政法人海洋研究開発機構, その他部局等, 研究員 (10392961)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 東シベリア / 動的全球植生モデル / 永久凍土 / 炭素循環 / カラマツ |
研究概要 |
(1) 動的全球植生モデルSEIBの拡張 動的全球植生モデルSEIBが、凍土を含んだ土壌物理過程を扱えるようにするため、ここに米国のグループにより開発された陸面物理モデルであるNOAH-LSMを結合した。この結合モデルは、ヤクーツク近郊のカラマツ成熟林で観測された蒸発散速度や地中温度・含水率の季節変化(Ohta et al. 2008, Agric For Meteorol)、さらに森林伐採前後の土壌熱水収支の変化(Iwahana et al. 2005, JGR Biogeosciences)を再現することに成功し、本研究の対象地域においても適切な挙動を示すことを確認した。 (2) 広域でシミュレーション結果を検証する為の葉面積指数(LAI)データセットの整備 LAI は植物生産速度の重要な指標であることから、本研究では重点的な検証を行う対象としている。既存のリモートセンシングデータ由来の全球LAI分布データセットは、シベリアのカラマツが優占する地域に最適化されておらず精度が低かったため、本研究では、研究分担者らが開発したアルゴリズムを用いて、東シベリアのLAI データセットを新たに作成した。具体的には、このアルゴリズムにSPOT衛星のVEGETATIONセンサのデータを入力することで、空間解像度1km、時間分解能10日間、期間1998年~2011年におけるLAIの季節変動を推定した。そして、空間解像度15mの衛星データを用いて先の1km解像度データセットの1画素内の反射率分布の影響を検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) モデルの開発に関しては、次年度以降に実施を予定していた内容(SEIBモデルへの陸面物理モデルとの結合)を先取りして進捗させた。これは、この結合モデルを検証するためのデータセットが迅速に入手できた為であり、またそれらデータセットを提供してくれた研究者との連絡・協働関係が活発なうちに、関連する作業を一気に進めたかったからである。このように、想定していた研究計画と実際の作業との間には順序の入れ替えは生じたものの、いずれにせよ当初掲げた研究目的を達成するために必要な研究は順調に進捗しているといえる。 (2) 広域シミュレーション検証用のデータセットの整備は、当初計画通りに進捗した。
|
今後の研究の推進方策 |
モデル開発に関しては、今年度は、まずは現在までに開発された結合モデルを用いて感度分析と温暖化実験を行い、そこまでの進捗を論文としてまとめ投稿する。そして次年度に、平成24年度に予定していた作業を再開し、そして4年度目(最終年度)にかけて東シベリア広域でのシミュレーション実験を行う予定である。検証用広域データセットの整備については、今年度は2012年までのデータの推定を行い、またこれまで作成したデータの時間・空間分布の挙動を明らかにする予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
これまでの成果の発表や情報収集のための旅費を主な使途としている。 また、シミュレーション研究を継続し、論文をまとめるために必要となる諸経費も計上している。
|