• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

気候変動に伴った東シベリアの植生・凍土システム変化を予測するシミュレーターの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24510014
研究機関名古屋大学

研究代表者

佐藤 永  名古屋大学, 環境学研究科, COE特任准教授 (50392965)

研究分担者 小林 秀樹  独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境変動領域, 主任研究員 (10392961)
キーワード東シベリア / カラマツ林 / 永久凍土 / 地球温暖化 / 生態系シミュレーション / 動的全球植生モデル
研究概要

(1) 陸面統合モデルによる林分スケールでの温暖化実験、および論文執筆
昨年度までに作成し、性能の検証を行った陸面統合モデル(動的全球植生モデルSEIBと
陸面物理モデルNOAH-LSMの結合モデル)を用いた温暖化実験を行った。その結果、21世紀中に予測されている大気中CO2濃度変化と気候変動の元において、今後さらなる進行が予測される温暖化は、地表面付近の永久凍土層を融解させることで、カラマツ林帯を崩壊させる可能性が高い事が示された。しかし、このような温暖化に伴ったカラマツ林帯の崩壊は、地表面に堆積した有機物層の「メモリー効果」によって、百年のオーダーで遅延する可能性が示された。カラマツ林のような亜寒帯林には、一般に、その林床に枯死物や地衣類から構成される厚い有機物層が存在する。この有機物層は、大気と地面との熱交換を妨げることで凍土の融解を阻害するが、この融解した凍土層が亜寒帯域の植物に水を供給しているために、凍土融解深度は植物生産性を強く制御している。我々は、森林火災後の林床有機物層の蓄積と、それが熱水収支や植物生産力に与える影響を初めて植生モデルに組み込み、それが温暖化に伴った植生変化の予測に大きな影響を与えることを初めて示した。
以上の結果を論文に取りまとめて、現在投稿中である。
(2) 広域でシミュレーション結果を検証する為のデータセットの整備
昨年度に引き続きSPOT-VEGETATIONデータの長期データセットの整備を行った。平成25年度は、2012年のSPOT-VEGETATION S-10データ(10日間コンポジット反射率データ)を入手し、春先の展葉日と葉面積指数の1kmスケールの推定を行った。また,1999年~2011年までのデータセットと比較し、推定値の妥当性を検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1) 本研究は、当初の研究計画書とは順序を前後させて進行している。すなわち1~2年度目に実際に達成させた研究は、計画書では2~3年度目に実施するとされていた(その理由については平成24年度科研費実績報告書にて述べた)。このように、想定していた研究計画と実際の作業との間には順序の入れ替えは生じたものの、当初掲げた研究目的を達成するために必要な研究は順調に進捗している。
(2) 広域シミュレーション検証用のデータセットの整備は、当初計画通りに進捗した。

今後の研究の推進方策

モデル開発に関しては、1年度目に予定していた作業を再開する。すなわち、統合モデルにおける、カラマツ以外の樹種の導入、および山火事モデルの改良を実施する。そして来年度(最終年度)にかけて、東シベリア広域でのシミュレーション実験を行う予定である。
検証用広域データセットの整備については、1999年―2012年の14年間に渡るシベリア全域のカラマツの展葉日と葉面積指数データセットの整備を終えており、今後これらのデータをモデルの検証に利用する。

次年度の研究費の使用計画

昨年11月に研究代表者に第二子が誕生し、それに伴って育児・家事の負担が一時的に増えた。これによって、年度当初に予定していた複数の出張に行けなかった。
これまでの成果の発表、及び情報収集のための旅費を主な使途としている。シミュレーション研究を継続し、論文をまとめるために必要となる諸経費も、引き続き計上している。また、研究代表者が、平成26年度始めより移籍したため、研究環境を整える予算(各種電子機器の購入など)も計上した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2014 2013

すべて 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)

  • [学会発表] Simulated Forest-Permafrost Interaction in Siberia affected byy Surface Orgganic-Cover: A simulation studyy2013

    • 著者名/発表者名
      Hisashi SATO, Go IWAHANA, Takeshi OHTA
    • 学会等名
      AGU, Fall Meeting
    • 発表場所
      San Francisco
    • 年月日
      20131211-20131211
  • [学会発表] Overview of MIROC-ESM, and Challenges in the dynamic vegetation sub model in MIROC-ESM2013

    • 著者名/発表者名
      Hisashi SATO
    • 学会等名
      Earth System Modeling Workshop
    • 発表場所
      Helsinki
    • 年月日
      20131007-20131009
    • 招待講演
  • [学会発表] 植生モデル研究におけるデータベース利用 動的全球植生モデルSEIB-DGVMを用いた 東シベリアとアフリカ大陸の植生研究を例にして2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤永
    • 学会等名
      日本土壌肥料学会 非公式勉強会「モニタリングと広域評価を考える会」
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20130911-20130911
    • 招待講演
  • [学会発表] 気候変動に伴った東シベリアの植生・凍土システム変化 ~シミュレーションによる検討~2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤永, 小林秀樹, 岩花剛, 太田岳史, アレキサンダー・フェドロフ
    • 学会等名
      JPGU
    • 発表場所
      幕張
    • 年月日
      20130521-20130521
  • [学会発表] 森林の放射計算にはどの程度詳細な植生構造のモデル化が必要か?2013

    • 著者名/発表者名
      小林秀樹
    • 学会等名
      JPGU
    • 発表場所
      幕張
    • 年月日
      20130521-20130521
  • [図書] シリーズ現代の生態学, 第2巻「地球環境変動の生態学」, 7章「植生と気候の相互作用と、動的全球植生モデル」2014

    • 著者名/発表者名
      佐藤永
    • 総ページ数
      278
    • 出版者
      共立出版
  • [図書] 地球環境の事典、項目6.4「陸域生態系の数値モデル(2) 動的全球植生モデル」2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤永
    • 総ページ数
      392
    • 出版者
      朝倉書店

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi