研究課題/領域番号 |
24510018
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
吉川 尚 東海大学, 海洋学部, 准教授 (80399104)
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研究分担者 |
仁木 将人 東海大学, 海洋学部, 准教授 (30408033)
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キーワード | 浮遊懸濁物 / 多元素 / 同位体比 |
研究概要 |
本年度は、三河湾、トンレサップ湖等の流入河川を対象に、河川水中の微量元素、浮遊懸濁物を介した食物網構造について、試料の採集と分析を実施した。三河湾の流入河川では、微量元素とSr同位体比が、沿岸水中の物質起源の指標となる可能性が示唆された。矢作川の下流と河口ではP濃度が高く、人間活動の影響(肥料・生活排水等)が示唆された。また、豊川と矢作川の上流はでSiの割合が高く、地質の影響(花崗岩)が示唆された。今後は、さらに多くの流入河川について調査し、沿岸海水や堆積物についての分析も開始する予定である。三河湾の食物網では、主に懸濁物食性とされる二枚貝類の食性を主対象に解析した。ユウシオガイのδ13C(-10.89±0.84‰)は、二枚貝類の中で最も高く、δ15N(10.29±0.51‰)は最も低い結果となった。さらに、秋の結果を元に推定した各餌資源の利用率をみると、ユウシオガイではアマモ由来の懸濁物の利用率が最も高いことが示唆された(72―74%)。一方、アサリでは、アナアオサ由来の懸濁物の利用率が最も高く(60―83%)、次いで植物プランクトンが高かった(0―33%)。今後は、全浮遊懸濁物と植物プランクトン、動物プランクトンの安定同位体比の違いについて詳細に解析し、また底泥堆積物から底生微細藻類を分離して分析する予定である。トンレサップ湖の流入河川は、微量元素の濃度組成を基にしたクラスター解析に基づき、Na、Ca、Siの割合がそれぞれ高い、3つのグループに大きく分けられた。今後は、湖内から採集した試料についても分析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査、分析は、概ね計画どおり進展している。分析方法については、堆積物の元素組成、同位体分析についての検討が残された課題である。水、生物試料について得られた結果について解析を進め、学会発表等を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
積物の元素組成、同位体分析について手法の検討を進める。最終年度は、補足的な調査を行いつつ、成果公表を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定より、試料採集と分析が順調に進展したため、支出額を抑えることができた。 堆積物の分析手法の検討、成果公表等に使用する。
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