研究課題
本年度は、三河湾、トンレサップ湖及びそれらの流入河川を対象に、河川水中の微量元素、浮遊懸濁物を介した食物網構造について、解析した。三河湾に流入する豊川・矢作川および沿岸干潟の水及び堆積物中の微量元素組成を、誘導結合プラズマ質量分析装置や表面電離型質量分析装置を用いて分析した。地殻の主要10元素組成に基づきクラスター分析を行ったところ、概ね矢作川と豊川に分類されたが、矢作川のクラスターに豊川の上流地点が分類され等注意すべき点が見られた。ストロンチウム同位体比は矢作川で高い数値を示し、豊川では概ね矢作川に比べ低い数値を示した。以上、人為的な影響を希土類のクラスター解析で、地質的影響を堆積物中のストロンチウム同位体比で追跡することでより正確に堆積物の起源推定ができる可能性が示された。乾季及び雨季のトンレサップ湖及び流入河川における調査では、微量元素の濃度組成を基にしたクラスター解析により、各季節・地点は大きく3つのグループ(A、B、C)に分けられた。AグループはSi、BグループはCa、Si及びNa、CグループはNaの割合が、それぞれ比較的高いといった特徴を有していた。湖内の地点は、季節を問わず全てBグループに含まれた。これらの3グループは、さらに7つのサブグループ(A₁、A₂、B₁、B₂、B₃、C₁、C₂)に分けられた。乾季は、湖とトンレサップ川のほぼ全ての地点が同じB₃サブグループ(Caが比較的高い)となり、メコン河はB₁サブグループ(NaとCaが比較的多い)となった。このことから、乾季には、湖水がトンレサップ河を通じてメコン河に流出していることが伺えた。
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Khon Kaen Agricultural Journal
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