マラリアを媒介するハマダラカの時空間分布を推定するため、一般気象要素を入力値とする、生理生態学-気候学的結合モデルを開発した。次に、アジア地域でもっとも多くのマラリア罹患者を抱えるインドにおいて、モデルによる潜在的な媒介蚊の分布とマラリア罹患者の関係を調べた。(1)マラリア罹患者は媒介蚊の年間世代数が増加すればするほど指数関数的に増加していた。(2)報告されたマラリアの季節的なピークはシミュレーションされた媒介蚊の出現期間とよく対応していた。(3)しかしながら、集約的な農業が行なわれている地域では再現性が低かったため、灌漑水をモデルに組み込んだところ、媒介蚊の活動期を正確に表現できた。
|