研究課題/領域番号 |
24510023
|
研究機関 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 |
研究代表者 |
野口 泉 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究主幹 (10442617)
|
キーワード | 酸化態窒素 / 亜硝酸 / 窒素沈着 / 乾性沈着速度 / 沈着速度推計プログラム |
研究概要 |
本研究は,大気中酸化態窒素成分である二酸化窒素,一酸化窒素,硝酸,亜硝酸および硝酸塩の大気中の組成および挙動を明らかにし,その沈着量評価を行うことを目的としている。調査は亜硝酸の捕集ができる新手法のフィルターパック法を用いて実施する。また,沈着量評価のための乾性沈着速度推計プログラムの開発も本研究で行う。 平成25年度は,以下の5項目について実施した。(1)連携研究者および研究協力者とともに大気環境学会時に会合を開き,大気中酸化態窒素成分の挙動に関する情報交換を行い,これまでの研究成果から大気中酸化態窒素成分濃度の日内変動の把握などの課題について検討を行った。(2)前述の会合と同時に開催された大気環境学会にて酸化態窒素成分の挙動についての発表を行った。(3) 大気中酸化態窒素成分濃度の調査においては,当初予定の全国6つの地方自治体の環境研究所(北海道立総合研究機構,埼玉県環境科学国際センター,愛知県環境調査センター,兵庫県環境研究センター,和歌山県環境衛生研究センターおよび沖縄県衛生環境研究所)に加え,札幌市衛生研究所,高知県環境研究センターが加わり,全国9地点(利尻,札幌,埼玉加須,豊橋,神戸須磨,和歌山海南,沖縄辺戸,札幌白石,香北)で,通年の連続調査を実施した。(4)沖縄の辺戸岬および北海道の利尻において夏期に,埼玉の加須および和歌山の海南において冬期に日内濃度変動調査を実施した。(5)沈着量評価に用いるインファレンシャル法を用いた乾性沈着速度推計プログラムの開発を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は,大気中酸化態窒素成分である二酸化窒素,一酸化窒素,硝酸,亜硝酸および硝酸塩の大気中の組成および挙動を明らかにし,その沈着量評価を行うことを目的としている。また,沈着量評価のための乾性沈着速度推計プログラムの開発も本研究で行うこととなっている。平成25年度は次の研究を遂行した。 (1)平成24年度に引き続き,当初予定の全国7 地点で,通年の連続調査を実施し,平成25年度はさらに追加参加機関の協力により,札幌白石および香北での調査結果も得られた。 (2)沈着量評価に関し,インファレンシャル法と濃度勾配法の比較から,特に亜硝酸については,濡れ効果による沈着量増大と日内濃度変動による影響が大きいと考えられ,利尻,辺戸岬,加須および海南にて,酸化態窒素成分の日内濃度変動調査を進めた。平成26年度はこの成果から,インファレンシャル法を用いた乾性沈着速度推計プログラムを開発予定である。 このように,当初予定の他に,新たな調査地点が増えたこと,追加した日内濃度変動調査を遂行し,より精度の高い乾性沈着速度推計プログラムを開発が見込めることから,自己点検結果として「①当初の計画以上に進展している。」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究においては,計画の大きな変更や問題点はない。ただし,本研究に参加を希望した協力機関(札幌市衛生研究所,高知県環境研究センター)があったことから,平成25年度より新たに2地点(札幌白石,香北:フィルターパック法とパッシブサンプラー法)の調査結果が得られ,本年度はより多くの地点で,大気中酸化態窒素成分の組成および挙動を明らかにする予定である。また,昨年度から追加した日内濃度変動調査により,精度の高い乾性沈着速度推計プログラム開発を行う。
|