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2013 年度 実施状況報告書

溶存無機炭素の同位体組成による新たな流域診断指標の構築

研究課題

研究課題/領域番号 24510024
研究機関独立行政法人国立環境研究所

研究代表者

高津 文人  独立行政法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 主任研究員 (30514327)

キーワード溶存無機炭素 / 炭素循環 / 放射性炭素濃度 / 炭素安定同位体比
研究概要

本年はΔ14C測定のために必要なグラファイト化ラインの各種パーツの条件設定を行った。7サンプル全自動システムを構築するため、試料水をHeパージし追い出した炭酸ガスを液体窒素でトラップし、再ガス化させるタイミングを合わせる必要がある。液体窒素を上げ下げする電動アクチュエーターとエア駆動の真空コックの制御用のタイマー付き電磁弁の作動時間を同調させるためのプログラム作成を行った。また、最終的にトラップした炭酸ガスを水素ガスと純鉄存在下でグラファイト化する工程では、安定した高温環境を長時間(650℃、3時間)必要とするが、その電気炉は最も不具合の生じやすい箇所であり、分解・交換が可能で、なおかつ断熱性に優れた7連電気炉の作成(材料は軽量断熱レンガと870℃まで昇温可能なヒーターブロック)を行った。さらに、グラファイト化された炭酸ガス量を見積もるため、炭酸ガスを一時トラップするガラス管内の真空度を常時モニタリングし、PCに取り込むシステムを組み上げた(Full range Gauge/シングルゲージコントローラ TPG261/ ActiveLine sofrware PT882550-T)。今後は、各パーツを組み上げ、測定精度管理と野外試料の測定を行う予定。また、溶存無機炭素の安定同位体比を100nmolで測定できる前処理ラインを使って、多様な水(渓流水から底泥間隙水まで)の溶存無機炭素の安定同位体比の測定を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Δ14Cの測定のための前処理ライン(グラファイト化ライン)の自動化には高温部と高真空部が必要であり、同時にそれを自動制御する真空バルブ、電源装置も必要となる。そのうち、高温部の電源装置の制御に関わる部分を今年度概ね完了した。また、高真空部に拡散・トラップされる炭酸ガスの濃度モニタリングのため、真空度を常時モニタリングし、PCに取り込み保存するシステムを作成した。
また、炭素安定同位体比の測定に関しては溶存無機炭素に加えて、溶存メタンを20nmol程度で±0.5-0.7‰程度の精度で測定可能なラインの作成に成功し、メタンも含めたより広範な炭素循環の研究に使えるシステムを構築した。

今後の研究の推進方策

今後は放射性同位体測定に必要なグラファイト化の自動ラインの最終くみ上げに精力的に取り組む。具体的には、1)溶存無機炭素や溶存メタンをHeバブルにより追い出し、液体窒素でトラップするための電動アクチュエータの動作と真空ラインの排気と水素ガスの導入のための自動真空弁の動作を同期させる、2)グラファイト化ラインにトラップした後、3時間炉温を650℃に保持し、その間のリーク率とグラファイト化率を真空度と元素分析の値から評価し、最終的にはΔ14Cの測定精度を確定する。その後、保存試料の溶存無機炭素、溶存メタンの安定同位体比と放射性炭素濃度の測定を行う。

次年度の研究費の使用計画

グラファイト化ラインを作成する上で必要となるタイマープログラム機能付き切り替えバルブや自動弁やフェラルなどは、本研究課題とは異なる硝酸イオン等の安定同位体分析でも使用するものであり、そうした別の研究費で購入した共通部品を流用することができ、消耗品の購入費が当初の予想より低く抑えられたため。
今後は放射性同位体測定に必要なグラファイト化の自動ラインの最終くみ上げ時の購入し忘れ物品の追加購入等に充てる。具体的には、1)電動アクチュエータと真空ラインの排気系と水素ガスの導入のための自動真空弁周りの物品購入、2)グラファイト化ラインと電気炉周辺に必要な物品の購入、3)真空ラインのリーク率とグラファイト化率を真空度と元素分析の値から評価するための物品購入等、に充てる。最終的にはΔ14Cの測定精度を確定する。また、保存試料の溶存無機炭素、溶存メタンの安定同位体比と放射性炭素濃度の測定を行う際の高純度ヘリウムガス・水素ガスや液体窒素等の消耗品購入にも充てる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 炭素・窒素の安定同位体比による環境解析-生物間相互作用から流域の物質代謝まで-2013

    • 著者名/発表者名
      高津 文人
    • 雑誌名

      RADIOISOTOPES

      巻: 62 ページ: 97-103

    • 査読あり
  • [学会発表] 河川水・湖水の硝酸および溶存無機炭素の安定同位体比による流域における窒素・炭素循環の解析2013

    • 著者名/発表者名
      高津文人,今井章雄
    • 学会等名
      日本地球化学会第60回年会
    • 発表場所
      つくば
    • 年月日
      20130911-20130913
    • 招待講演
  • [学会発表] 安定同位体分析による出水時の河川水溶存無機炭素の起源推定2013

    • 著者名/発表者名
      高津文人,今井章雄,小松一弘,三浦真吾,川崎伸之,佐藤貴之,篠原隆一郎
    • 学会等名
      日本水環境学会第47回年会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20130311-20130313

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公開日: 2015-05-28  

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