研究課題/領域番号 |
24510025
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
橋本 昌司 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 主任研究員 (90414490)
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キーワード | 温室効果ガス / 土壌 / モデル / 気候変動 / 全球 |
研究概要 |
土壌における二酸化炭素・メタン・亜酸化窒素ガスの吸収・排出は、全球規模の温室効果ガス循環に大きく寄与している。本研究では、世界中で観測されている土壌における温室効果ガスの吸排出量データを収集・データベース化し、ベイジアンキャリブレーションという最新のパラメータ推定技法を用いたデータ-モデル同化を行い、高精度のモデルを構築する。そして開発したモデルを用いて、土壌における温室効果ガスの吸排出量を全球スケールで推定することを目的としている。当年度は、土壌からの二酸化炭素放出(土壌呼吸)について、Bond-Lamberty and Thomson (2010a)が構築した土壌呼吸観測のデータベース (SRDB)を用い、Raichモデル(Raich and Potter 1995; Raich et al. 2002)の改良型モデルを考案し、ベイジアンキャリブレーションを用いてパラメータを決定してモデル構築を行った。そして、モデルを0.5度グリッドで全球に適用し、土壌呼吸の全球スケールでの空間分布、時系列変化をシミュレートした。現時点での試験的なシミュレーションでは、土壌呼吸の推定値は89 PgC yr-1となった。この値は、同じくSRDBを用いたBond-Lamberty and Thomson (2010b)で報告している値よりも9 PgC yr-1程度小さいが、その他の過去の推定値よりも10 PgC yr-1程度大きい値となった。また、土壌呼吸量は年0.1 PgCyr-1で増大している結果となった。全球スケールでの土壌呼吸の推定値は、未だ事例が少ないため、これらの推定値は貴重である。また、本研究のように、大量の観測データに基づいて構築されたデータ指向型モデルにより算出された全球スケールでの土壌呼吸の時空間分布は、プロセス指向型モデルのチェック(constrain)としても利用されると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3種類のガスを対象にしたが、データベース構築に時間がかかっている
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今後の研究の推進方策 |
既存のデータセットを最大限活用し、研究を加速する。
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次年度の研究費の使用計画 |
補助員の雇用を行っていないため。 補助員の雇用を検討する。
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