土壌からの二酸化炭素放出量の全球推定に関する成果発表と、亜酸化窒素放出量の全球推定及び成果発表を行った。土壌からの二酸化炭素放出量に関しては、昨年得られた結果をEuropean Geosciences Unionのオープンアクセス誌Biogeosciencesに投稿し、掲載された。この論文について森林総合研究所からプレスリリースを行った。亜酸化窒素放出量の全球推定では、土地利用を、非湿地自然土壌、非湿地農業土壌、湿地自然土壌、 湿地農業土壌(水田)に分類しモデル化を行った。二酸化炭素放出量のモデル化で開発したRaichモデル改良版をベースに、自然土壌には窒素降下物量を、農業土壌には肥料投入量を組み込んでモデル化した。湿地自然土壌は有効なモデルを構築することができなかったため、全球推定の際には湿地自然土壌における観測データの平均値を用いた。構築したモデルを5分の空間解像度で全球に適用した。推定された全球の亜酸化窒素放出量は9.8 TgNyr-1となった。非湿地自然土壌が最大の亜酸化窒素放出量を示し(5.7 TgNyr-1)、次に非湿地農業土壌が大きな値を示した(3.6 TgNyr-1)。面積も考慮に入れた緯度方向の放出量の分布は10°S-10°N と30°N-40°Nで大きかった。赤道付近の放出は非湿地自然土壌が主な発生源であり、北半球中緯度の放出は非湿地農業土壌が主な発生源であった。全球の亜酸化窒素放出量の季節性を調べた結果、8月に最大になり、2月に最小となった。この季節性は主に中緯度に分布する非湿地農業土壌の季節性によるものであった。結果をJapan Geoscience Union の大会およびAmerican Geophysical Unionの大会で発表した。
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