研究課題/領域番号 |
24510027
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 埼玉県環境科学国際センター |
研究代表者 |
米持 真一 埼玉県環境科学国際センター, 大気環境担当, 専門研究員 (90415373)
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研究分担者 |
王 効挙 埼玉県環境科学国際センター, 自然環境担当, 専門研究員 (20415392)
梅沢 夏実 埼玉県環境科学国際センター, 大気環境担当, 担当部長 (30415369)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | PM1 / PM2.5 / 国際研究者交流 / 中国 / 北京 / 富士山頂 / 上海 / 磁気分離 |
研究概要 |
性状が異なり、かつ越境大気汚染現象の解明に利用可能なPM1(いくつかの地点ではPM2.5も実施)の試料採取を夏季と冬季にそれぞれ2週間ずつ全地点同期して行った。採取地点は日本国内は埼玉県加須市、東京都新宿区、富士山頂(夏季のみ)とし、中国は上海市、北京市とした。試料採取はマルチノズルカスケードインパクタ-(MCI)サンプラーとし分級部のPM2.5分級板をPM1用に換えて、PM1の採取を行った。 夏季の国内ではPM2.5およびPM1濃度は10µg/3前後と低濃度で推移していた。北京では大雨の影響で十分な試料が得られなかったが、質量濃度50~80µg/m3の試料が得られた。冬季も国内では10~20µg/m3程度の濃度で推移していたが、北京ではメディアでも多数報道された深刻な大気汚染が発生し、PM2.5濃度は100~370µg/m3の高濃度試料が得られた。北京のPM1/PM2.5は全ての期間で0.95以上で推移した。社会的な緊急性を考慮し、冬季の北京の試料について先行して成分分析を行った。その結果、特にPM2.5濃度の高かった1月11日~14日はNO3-/SO2-比が低く、また定量した57元素のうちAs/V比が高値であったことなどから、石炭燃焼による影響を強く受けていたことが分かった。この期間は週末であったこと、気象的な要因を考慮すると、家庭用暖房等で使用される石炭の燃焼による影響が大きかったと考えられた。 なお、当初計画で予定した超伝導磁石を用いた二段階磁気分離は、使用を想定していた超電導磁石のトラブルにより実施することができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
夏季および冬季に得た国内試料が低濃度で推移していたことに加え、当初使用を予定していた超伝導磁石がトラブルによって使用できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
中国においては、今年の冬季も深刻な大気汚染が発生すると考えられるため、例えば地点を増やすなどの対応を検討中である。更に、越境大気汚染を評価するのに適している韓国済州島においても同期して試料採取を行う。 磁気分離法については、他に使用可能な超伝導磁石を探し、磁気分離の検討を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
日中関係の悪化に伴い、昨年度は中国研究者の招聘ができなかったため、本年に招聘する。また韓国済州島への機器設置、サンプリング打合せ等を行う。
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