研究課題/領域番号 |
24510027
|
研究機関 | 埼玉県環境科学国際センター |
研究代表者 |
米持 真一 埼玉県環境科学国際センター, 大気環境担当, 専門研究員 (90415373)
|
研究分担者 |
王 効挙 埼玉県環境科学国際センター, 自然環境担当, 専門研究員 (20415392)
梅沢 夏実 埼玉県環境科学国際センター, 大気環境担当, 担当部長 (30415369)
|
キーワード | PM2.5 / 化学組成 / 国際研究者交流 / 中国 / 韓国 / 富士山頂 |
研究概要 |
2013年8月、2014年1月に中国北京市、上海市、更には韓国済州島で実施した。国内では加須市、新宿区においてPM2.5およびPM1の並行採取を2週間ずつ実施した。富士山頂でも試料採取を行ったが、夏季のみとした。試料採取は全ての地点で同期し、採取装置はマルチノズルカスケードインパクターサンプラーを用いた。夏季のPM2.5濃度(単位はug/m3)は加須16、新宿15、富士山頂9、上海13、北京85、冬季のPM2.5濃度は加須13、新宿14、上海39、北京146であり、北京は夏・冬ともに突出した高濃度であった。また上海も冬季には日本の約2倍以上の濃度となった。これらはいずれも期間平均濃度であり、北京市の最高濃度は夏季174、冬季382であった。石炭燃焼の影響を示す、As/V比では、上海で0.2程度であったものが北京市では3.8であり、更に昨年度実施した冬季では7.2と高い値を示した。 磁気分離については、中国国内で採取した石炭燃焼の焼却灰を入手できた。磁気分離を行うと、環境試料よりも高い比率で磁性フラクションが存在することが分かった。これまでの検討で、磁性フラクションの比率が上海>富士山頂>加須という事例があったが、焼却灰試料については、更に高い比率で存在しており、この傾向を強く支持する結果を得た。また、ランタノイド元素の一つであるネオジムは、磁性フラクションの比率が特に高く、今後注目する必要がある元素と考えられる。 本取組は、新聞やテレビから多数の取材を受け、多くのメディアで紹介された。特に本年1月23日のNHKニュースウォッチ9では日本国内に広く伝えられた。本取組については、まだ課題もあり、更なる検証が必要であるが、成果をまとめ、整理した後で、公表していきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中国に加え、韓国済州島でも試料採取をすることとなった。得られた試料は、順次、金属元素成分の分析を進めている。一方、黄砂飛来期の試料採取は、日中関係が依然悪化したままであるため、協力予定機関から合意が得られなかった。 また、超電導磁石については、修繕に多くの費用と労力がかかることから、保有機関との調整が難航している。
|
今後の研究の推進方策 |
H26年度が最終年度であるが、現在実施している中国、韓国の計3地点のほか、いくつか地点を増やす予定である。これにより更に範囲を広げた見方ができると考えている。日中韓で試料の同時採取を行うのが、本研究の大きなポイントである。これらは今後もメディアに注目されると思われる。論文化とともに、その中で、本研究の成果についても紹介していきたい。 二段階での磁気分離については、超伝導磁石の故障に伴う修繕等が難航している。善後策として超伝導磁石に拘らずに代替案を検討している。
|
次年度の研究費の使用計画 |
日中関係の悪化に伴う往来頻度の減少によるものである。 中国研究者の往来のほか、観測地点の追加を検討している。この現地調査および調査実施、更には当該地点での観測機材の購入費用として支出する予定である。
|