研究課題
2014年8月と2015年1月に中国(北京、上海)、韓国(済州島)および日本(加須、新宿、富士山頂)でPM2.5の同時採取を行った。2015年1月の採取は、これまで行ってきたPTFEフィルターのみを用いたPM2.5とPM1の並行採取を、PTFEフィルターと石英フィルターを用いたPM2.5の並行採取に変更した。金属元素の化合形態に関する情報を得るため、大気中微小粒子の磁気分離を試みた結果、従来型のネオジム磁石(表面磁束密度0.4T)では、質量的には非磁性フラクションが非常に多く、十分な試料の量が得られなかったため、超伝導磁石による強磁場によって非磁性フラクションを二段階で分離する計画であったが、想定していた超伝導磁石が機器トラブル使用できなくなったため、表面磁束密度1.0Tの高磁場型のネオジム磁石を代用した。石炭燃焼媒に対する磁気分離では、原煤では大部分が非磁性フラクションであったのに対し、燃焼媒では磁性成分が70%以上を締めており、酸化体により磁化率が上昇した可能性が考えられた。また、本課題実施中に生じたPM2.5の社会問題化を受けて、越境汚染現象について、既存の金属元素を指標とした検討も行った。As/V比を指標として、後方流跡線解析を用いて、大陸由来の気塊が飛来した際に、大陸由来では無かった場合と比べて、AS/Vが上昇していた。一般に夏季は南風が卓越することで、越境汚染の影響はほとんど無いと考えられているが、2013年8月の夏季は、越境汚染の影響を受けた期間が少なからず存在することが分かった。更に、希土類元素を新たな指標とした解析を行い、中国から気塊が飛来する際に、これらの元素の濃度上昇が見られることが明らかとなった。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち謝辞記載あり 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件)
環境システム計測制御学会誌
巻: 19 ページ: 58-62
10.11298/taiki.48.140
Atmospheric Research
巻: 153 ページ: 543-552
10.1016/j.atmosres.2014.10.006
Atmospheric Environment
巻: 97 ページ: 519-528
10.1016/j.atmosenv.2013.11.047