研究課題/領域番号 |
24510043
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
山内 正剛 独立行政法人放射線医学総合研究所, 福島復興支援本部, 上席研究員 (00260240)
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キーワード | 環境標準生物 / 初代細胞培養 / 淡水魚 / 放射線影響 / 環境変異原 / 福島県いわき市 / コイ / コロニーアッセイ |
研究概要 |
平成25年度は、初年度に実施した予備実験のデータを基盤に、とくにコイ細胞において、6-チオグアニン耐性変異形質の獲得を利用したコロニーアッセイシステムを確立することに成功した(原著論文作成中)。コイは世界的にも生息範囲が広く、相当に劣悪な環境下でも生息可能であり、また寿命の長さは人間と同様であり、捕獲も比較的容易であることから、新たな環境標準生物としての有用性が期待されている。 さらに、モツゴ細胞についても初代細胞培養に成功し、本研究室において初代細胞培養が可能となった淡水魚種は、昨年度に成功したフナ、タナゴ、ドジョウとあわせて5種類となった。 また、同時並行的に淡水生性節足動物(ザリガニ、テナガエビ、スジエビ)を捕獲することに成功し、これらの初代細胞培養を試みたが、こちらの実験はまったく成功しなかった。昆虫細胞用培地により培養可能な節足動物細胞はきわめて限定的である可能性が示唆された。 また、エアレーションを用いない淡水魚の飼育方法については、昨年度に引き続き良好に推移していると思われる。しかしながら、飼育水の交換ナシでの飼育が長期にわたり始めており、飼育水中のミネラルバランスの調整が課題となってきている。ミネラルバランスの調整に関しては、平成26年度に類似のシステムを利用している養魚施設の現地訪問調査を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
淡水魚の捕獲や初代細胞培養方法の確立に関しては、当初の計画以上に進展し、コイ細胞を用いたコロニーアッセイ法を確立することができた。さらに、新たにモツゴの初代細胞培養にも成功した。さらに、平成25年度には複数種類の節足動物(ザリガニ、テナガエビ、スジエビ)の捕獲にも成功した。しかしながら、これら節足動物の細胞培養には成功しなかったため、平均点として「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
コイ細胞を用いたコロニーアッセイ法はほぼ確立したと言えるが、実験1サイクルが数か月にわたるため、実験室環境や初代細胞培養技術の習熟度によっては雑菌混入などのリスクが高くなるなど、汎用性に問題を生じる可能性が懸念される。そこで、最終年度となる平成26年度は、コイ細胞を用いたコロニーアッセイ法の時間短縮を試み、本法確立の仕上げとしたい。また、水草を用いて酸素の供給と水質の浄化を図る新たな飼育方法におけるミネラルバランス維持調整方法を確立したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
剰余のため 次年度の消耗品費としたいと思います。
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