研究課題/領域番号 |
24510043
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研究機関 | 独立行政法人放射線医学総合研究所 |
研究代表者 |
山内 正剛 独立行政法人放射線医学総合研究所, 福島復興支援本部, 上席研究員 (00260240)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 環境標準生物 / 環境放射線 / 生物影響 / 環境影響 / 突然変異 / コロニーアッセイ / 初代細胞培養 / 原発事故 |
研究実績の概要 |
東日本大震災に起因する福島第一原発からの放射能漏れによる人的な影響に加えて、自然環境への影響も同様に懸念されている。野生環境において生息するさまざまな生物に対する放射線影響を把握することは、生態系の頂点に位置する人類の放射線防護という観点から、きわめて重要な課題である。しかしながら、わが国においてこれまで環境標準生物として用いられてきたメダカは環境の変化に適応できずに絶滅危惧種となり、新たな環境標準生物を設定する必要がある。本研究ではわれわれは現在の福島県内に生息する淡水魚の環境標準生物としての適性を調べた。その結果、コイは生育環境が広く、さまざまな環境によく適応できており、また初代培養細胞を用いたコロニーアッセイ法を実施できることなどが明らかになり、次世代の環境標準生物としてきわめて有望であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たな環境標準生物を探索する本研究の実施により、コイが次世代の環境標準生物として極めて有望であることを実験科学的に示すことができたので、本研究計画の達成度はほぼ100パーセントであったということができる。しかしながら、本研究を実施した中で発生してきた様々な疑問点については、たとえばコイ個体から採取した初代培養細胞の突然変異率の多様性の幅の程度などについては、主に経費的な制約のために、十分に検討を重ねることができなかったため、計画以上に進展したとはいえないと考えた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、福島第一原発から漏出した放射性物質により高度に汚染された地域を含むいろいろな地域で採取したコイ個体に由来する細胞を用いて、コロニーアッセイ法による生物影響の有無やコロニーアッセイ法を用いた解析より得られる結果の多様性の程度について解析研究を実施していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度の終わりの3か月に業務補助をお願いしていた者が体調を崩し、前後して研究代表者はISO国際会議TC94/SC13の日本代表に推挙され、本時期に実施予定であった科研費研究成果の取りまとめ業務を3か月間先送りせざるを得なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度までに得られた実験データを取りまとめ、原著論文を作成する。疑義が生じた実験結果については追加実験を実施する。
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